最新記事

フランス

セーヌ川沿いで始まった「車のない町」への挑戦

2016年10月5日(水)10時50分
ヘンリー・グラバー

 つい最近まで、この2都市もご多分に漏れず車の渋滞に悩まされてきた。人口当たりの車の数が世界で最も多いのは西ヨーロッパだ。フランスもイギリスも1人当たりの乗用車数はアメリカを上回っている。だが近い将来、ロンドンやパリを車で混雑した都市と呼ぶことはできなくなるだろう。

 もしニューヨークで同じことをしようとしたら、「オランダのアムステルダムじゃあるまいし」と言われて終わりだろう。これまでにない都市計画上の施策を始めようとしても、理想主義にすぎないと一蹴されてしまうわけだ。

 だが自転車利用を軸にした街づくりで知られるアムステルダムでも、かつてはアメリカの多くの都市と同じように自動車中心の再開発が行われた時代があった。それが今では、遠い海の向こうのおとぎ話に思えるほど懸け離れてしまった。

【参考記事】氷河を堰き止めている棚氷が崩壊の危機

 このままパリやロンドンにまで置いていかれるわけにはいかない。パリだって当初は、毎週日曜日の車道の通行止めからスタートした。ニューヨークで夏の週末、中心部の道路を歩行者天国にする「サマー・ストリート」と大差なかったわけだ。

 それが20年のうちに、大都会のど真ん中の道路計4車線をつぶして市民の憩いの場を作るというプロジェクトに発展した。私たちにもできないはずはない。

© 2016, Slate

[2016年10月 4日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー

ワールド

インドネシア、9月輸出入が増加 ともに予想上回る

ワールド

インド製造業PMI、10月改定値は59.2に上昇 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中