最新記事

北朝鮮

狭まる北朝鮮包囲網、友好国にも「金正恩離反」の兆候

2016年9月28日(水)11時04分

 陸地に囲まれたモンゴルは、北朝鮮の揺るぎない同盟国の1つで韓国とも親密な関係にあるが、7月に国連に提出された報告書によると、モンゴル旗を付けて運航してきた北朝鮮船舶14隻すべての登録を取り消した。国連制裁の対象はそのうちの1隻に科されていただけだったのにもかかわらずだ。

 北朝鮮にとって利便性が良く、最も人気の国旗だったカンボジアも8月、北朝鮮を名指しはしなかったものの、あらゆる外国船の登録を廃止した。

 北朝鮮船舶69隻は、国連のブラックリストに入っていなかったにもかかわらず、3月に国連が制裁を強化して以降、すべての登録が抹消されたと韓国外交部が先月発表した。北朝鮮の商船隊は、ほぼ240隻から成り立っていると国連は推定している。

 ただ、さまざまな国が1回限りの措置を取ったとしても、北朝鮮は単にビジネスを他に移すことが可能だ。これは一方的行動の一般的な欠点だ。

 中国とロシアは、北朝鮮労働者の大部分を受け入れており、その慣行をやめる意思を、公式に表明していない。また、北朝鮮は今月、ベラルーシ共和国の首都ミンスクに大使館を開設し、その在外公館の数を54にした。

 北朝鮮は外交官を活用することでも知られており、これまでに何人かは禁止機器を入手したり、違法活動の資金調達をしようとして、膨大な金や現金とともに捕まっている。

 専門家は、中国がカギだと指摘する。

「一方的な(制裁)措置は、その効率性よりも、心理的な圧力を北朝鮮に及ぼしている」とソウル国立大学の平和統一研究所で上級研究員を務めるChang Yong-seok氏は語る。「しかし犯罪組織と同じように、北朝鮮は心理的な圧力に対して、縮み上がることはないだろう」

(Ju-min Park記者, Tony Munroe記者、翻訳:高橋浩祐 編集:下郡美紀)

[ソウル 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国大豆輸入、今年は過去最高か ブラジル産購入や米

ワールド

メローニ伊首相、ゼレンスキー氏と電話会談 緊急支援

ビジネス

街角景気11月は7カ月ぶりに悪化、物価高に懸念 ク

ワールド

中国レアアース輸出、11月は急増 米中首脳会談受け
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中