最新記事

北朝鮮

狭まる北朝鮮包囲網、友好国にも「金正恩離反」の兆候

2016年9月28日(水)11時04分

 今年の国連報告書によれば、アンゴラは2011年、国連の制裁対象下にある北朝鮮のグリーン・パイン・アソシエイテッド・コーポレーションから軍事機器を購入した疑いがあったという。北朝鮮は医療やIT、建設などの面でも、アンゴラと連携していたと韓国の在アンゴラ大使館は昨年12月に明らかにしている。

 アンゴラの当局者はコメントに応じなかったが、同国政府は7月、ここ数年いかなる軽量兵器も北朝鮮から輸入していないと国連に報告している。

 一方で、北朝鮮による安価な労働力輸出も標的にされている。

 米政府は今年に入り、北朝鮮労働者の受け入れを控えるよう各国に呼び掛けてきた。2015年の国連報告書によると、海外で働く北朝鮮労働者は約5万人で、本国のために年間12億ドル(約1210億円)から23億ドルの資金を稼いできた。

 最大800人の北朝鮮労働者を受け入れていると一部で推測されているポーランドは今年、ビザの更新を停止した。地中海のマルタ共和国も同様の停止措置を講じている。

 また、ウクライナは、旧ソ連時代に結ばれた、北朝鮮国民に対するビザなし渡航許可を最近取り消しており、渡航規制も増えている。

 北朝鮮関連の貿易拠点だったシンガポールも、北朝鮮からの渡航者に対し来月からビザの申請を義務付けると出入国管理当局が7月発表した。

船舶の登録抹消

 北朝鮮貿易の大部分は中国が占めており、中国の協力なしには、制裁は限定的影響しか及ぼさないと専門家は警告している。

 中国は北朝鮮の核計画を非難しているものの、北朝鮮の最も重要な同盟国であり、地域全体を不安定にするような同国の崩壊を恐れ、金正恩体制に過度な圧力をかけることを望んでいない。

 このことは、国連制裁を著しく強化するための合意取り付けの難しさを意味している。

 北朝鮮の孤立化に向けて目立った取り組みの1つは、一部の国が北朝鮮船舶の登録を取り消したことだ。北朝鮮所有の船舶は、不法な貨物船の動きを偽装するため、他国旗を利用していると推測されている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国軍のレーダー照射を説明 豪国防相「

ワールド

米安保戦略、ロシアを「直接的な脅威」とせず クレム

ワールド

中国海軍、日本の主張は「事実と矛盾」 レーダー照射

ワールド

豪国防相と東シナ海や南シナ海について深刻な懸念共有
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中