最新記事

シリア

地獄と化すアレッポで政府軍に抵抗する子供たち

2016年8月2日(火)18時30分
ジャック・ムーア

Syrian Revolution/YouTube

 シリア政府軍に包囲され、シリア軍とロシア空軍の爆撃にさらされる北部最大の都市アレッポでは、政府軍と反体制派武装勢力の争いに巻き込まれ、逃げ場も失った住民が、勇気ある抵抗に乗り出した。

【参考記事】死者47万人、殺された医師705人......シリア内戦5年を数字で振り返る

 アレッポの反体制派メディア「シリア・レボリューション」が公開した映像には、反体制派支配地域で暮らす何人もの子どもたちがタイヤを転がしながら道路を横切る場面や、タイヤが激しく燃え、立ち昇る濃い煙で上空が鉛色になる様子が映っている。上空を黒煙で覆って煙幕を張って自らと反体制派の戦闘員を爆撃から守る。


Syrian Revolution/YouTube

 反体制派は反攻を仕掛けると声明している。

 反体制派とバシャル・アサド大統領率いる政府軍は今年2月に米ロ主導の停戦合意に達したが、アレッポ包囲とともに完全に崩壊していた。アレッポは反体制派の最大拠点。

【参考記事】米国とロシアはシリアのアレッポ県分割で合意か?

 アサド政権はこれまで、悪名高い無差別殺傷兵器「樽爆弾」を反体制派支配地域に投下して多数の民間人の命を奪い、町を破壊してきた。5年以上に及ぶ戦闘を経て、アレッポは地獄に変わり果てた。

 政権側が7月にアレッポ東部と外部を結ぶ唯一の補給路を封鎖してから、包囲地域に残された数万人の住民は、食料や医療品などの人道物資が手に入らなくなった。国連は、生活必需品が3週間以内に底をつくと警告している。

【参考記事】シリア軍の包囲網のなかで住民は霞を食べている?


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国製造業PMI、11月は2カ月連続50割れ 需要

ビジネス

豪証取、情報開示システムに障害、一部復旧も約80銘

ワールド

香港火災、警察が建物の捜索進める 死者146人・約

ビジネス

新発5年債1.375%、長期金利1.87%に上昇 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中