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北朝鮮

狙われる少女、アキレス腱を切られる労働者――最新の北朝鮮人権報告を読み解く

2016年7月4日(月)15時47分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

 この報告書では、北朝鮮とともにアルジェリア、ミャンマー、イラン、ロシア、シリアなど27カ国を最低の「段階3」とした。

「段階1」と評価されたのは、西欧のほとんどの国、米国、韓国、台湾、フィリピンなど36カ国、「段階2」とされたのは、日本を含む122カ国だ。日本は、G7では唯一の「段階2」である。

 報告書では、日本の外国人研修制度について「実質的な強制労働になっていることが多い」と指摘。「援助交際」や「JK(女子高生)ビジネス」、日本人男性の海外への児童買春旅行が行われていることについて「人身売買の排除にむけた最低限の水準を満たしていない」として、12年連続で「段階2」とした。

 また、2000年に国連総会で採択された人身取引に関する議定書を批准していない21の国に、北朝鮮と並んで日本を挙げるなど、日本について非常に厳しい見方をしている。

[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ――中朝国境滞在記』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)がある。

※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。
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