党大会を6日に控えた北朝鮮、実態は党よりも金が物を言う社会に
半合法的な市場経済が朝鮮労働党の足元を脅かしつつある
4月28日、韓国に住む脱北者のキム・ダンビさんの兄は北朝鮮に住み、同国の支配者層の見本となっている。写真は北朝鮮の故金日成主席の生誕104周年を祝う記念式典。14日に平壌で撮影(2016年 ロイター/KCNA)
韓国に住む脱北者のキム・ダンビさんの兄は北朝鮮に住み、同国の支配者層の見本となっている。彼は朝鮮人民軍陸軍の退役軍人であり、朝鮮労働党員だ。さらに今では国営企業の幹部も務めている。
しかし、キムさんによると、彼女の兄は時間がある時に、テレビや寝具といった中国からの密輸品を取引するのを手伝っている。これは最近、車を買えるほど儲かる副業となったという。
「党に属することは金銭的には何の役にも立たない」とキムさんは言い、「自分で事業をする人々にとっては、それは重荷にさえなっている」と語る。
キムさんの兄の話は、よちよち歩き状態の半合法的な市場経済が、北朝鮮指導者である金正恩第1書記に難題をもたらしていることを示している。こうした経済は、孤立した独裁的な国で根付いてきた。
北朝鮮は5月6日から平壌で始まる朝鮮労働党党大会に向けて準備を進めている。36年ぶりとなる党大会に集う何千人もの代表団にとっては、このイベントへの出席自体が支配層における自らのステータスを確認するものとなる。しかし、韓国に渡った脱北者によると、北朝鮮の多くの人々にとっては、お金の方が党員資格に勝るものとなっている。
「入党すれば、党行事に出席しなければならないため、市場で商売ができる時間を失ってしまう」。2014年に平壌から脱北した元党員で、元政府高官でもある男性はこう語った。
「一般の人々は、それが自分には全く関係がないと思っている」と来月開催される党大会に言及。男性は、北朝鮮にいる家族を守るため、実名を明かすことを拒否した。
党の文化
朝鮮労働党の文化は、北朝鮮のいたるところにある。たいていの村は、党役人が毎週土曜日に講義をする建物を有している。そして、伝統的な国営メディアの力の及ばない地域に、中央集権的なプロパガンダを広めている。