最新記事

自動車

米国内で一段と強まるタカタ批判、自動車メーカー各社との支援協議は難航も

自動車メーカー14社がエアバッグを5000万個以上、4000億円超肩代わりしてリコール

2016年3月1日(火)10時49分

2月29日、エアバッグ異常破裂問題に揺れるタカタは自動車メーカー各社に原因調査の中間報告を説明し、リコール(回収・無償修理)費用の分担や経営支援の協議に向けて動き出した。同社のショールームで5日撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

 エアバッグ異常破裂問題に揺れるタカタ<7312.T>は自動車メーカー各社に原因調査の中間報告を説明し、リコール(回収・無償修理)費用の分担や経営支援の協議に向けて動き出した。だが、米国ではリコール拡大への動きが再び活発化しており、費用は一段と膨らむ恐れがある。

 タカタは早ければ4月中に協議をまとめて5月の本決算に間に合わせたい考えだが、事故の原因や責任の所在はまだ不明瞭で、自動車各社は支援には慎重な姿勢を崩していない。

最大9000万個の「時限爆弾」

 タカタ製エアバッグの異常破裂により、これまで世界で10人が死亡、100人以上が負傷しており、世界の主要自動車メーカー14社がリコールを日米欧などで実施。エアバッグを膨らませるインフレーターのリコール数は5000万個以上に及んでいる。リコールは米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が強く要請し、自動車各社が原因調査や予防的措置としても進めてきた。

 現時点のリコール費用はインフレータ―1個当たり8000円で計算すると4000億円超に上り、自動車各社がほぼ肩代わりしている。タカタの純資産は昨年12月末で約1451億円。タカタは工程作業上のミスなど自社の責任が明確な一部のリコール以外は合理的に見積もれないとして多くの費用計上を見送っている。だが、監査法人の判断で引き当てを迫られたり、自動車各社に全額請求されれば債務超過になる恐れがある。

 しかも、ここにきてその費用がさらに膨らむ恐れが出てきた。昨年12月には米フォード・モーターの車で初の死者が出て、米国での死者が9人になった。24日には14年の全米リコール実施を促した米上院議員2人が欠陥が疑われるタカタ製エアバッグを「作動中の時限爆弾」と表現し、NHTSAに対して検討中のリコールを急ぐようあらためて要請したからだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

林氏が政策公表、物価上昇緩やかにし1%程度の実質賃

ビジネス

午後3時のドルは147円前半へ上昇、米FOMC後の

ビジネス

パナソニック、アノードフリー技術で高容量EV電池の

ワールド

米農務長官、関税収入による農家支援を示唆=FT
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中