最新記事

自動車

米国内で一段と強まるタカタ批判、自動車メーカー各社との支援協議は難航も

2016年3月1日(火)10時49分

 これまでの米国でのリコール数は約2900万個。ロイターの取材では、NHTSAは新たに最大9000万個のリコールが必要かどうかを調査中で、米国世論が高まれば同国で新たなリコールに踏み切る可能性がある。その場合の追加費用は1兆円超に及ぶとの試算もある。

調査報告は不明瞭なまま

 現在、原因究明に向けて3つの調査が進行している。タカタの自社調査、日米欧の自動車メーカー10社の共同調査、リコール数が最も多いホンダ<7267.T>の独自調査だ。

 23日には10社から委託された米調査会社が、乾燥剤なしで火薬原料の硝酸アンモニウムを使う、高温多湿の環境で長期間さらす、インフレーターの組み立てでの湿気防止対策が不十分──という3つの要因が重なって異常破裂につながったと発表。これを受けてタカタも同日、自社が委託していたドイツの研究機関の調査結果と「一致する」との声明を出し、25日には自動車各社に同結果を報告した。

 だが、両結果とも「これまでの見解を並べただけで、原因も責任の所在も依然あいまい」というのが自動車メーカー幹部らの印象だ。両調査は今も継続中だが、「最終報告が出ても中身はさほど変わらないのでは」との声も漏れる。ホンダが米社に委託して進めている調査は3カ月後にも一定の解析結果が出る見込みだが、関係者の1人は「ホンダと先の2つの結果に差があれば、協議は進みにくい」と話す。

悩ましい自動車各社

 関係者らによれば、タカタは高田重久会長兼社長らが経営責任を取って辞める意向を示しているほか、企業法務や事業再生に詳しい弁護士らなどの外部専門家からなる委員会が主体となり再建計画の策定に取りかかっている。

 また、交換用インフレーターの安定供給を目指し、硝酸アンモニウムとは別の火薬原料で作っているダイセル<4202.T>と共同出資の開発生産会社を設立する方向で検討に入っている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米ISM製造業景気指数、4月48.7 関税コストで

ビジネス

米3月建設支出、0.5%減 ローン金利高騰や関税が

ワールド

ウォルツ米大統領補佐官が辞任へ=関係筋

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、2カ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    【徹底解説】次の教皇は誰に?...教皇選挙(コンクラ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中