最新記事

中国経済

中国進出の外資企業、景気減速でも巨大マーケットの消費者に熱視線

2016年2月8日(月)10時56分

 第4・四半期の中国成長率が前年同期比6.8%に減速したことを受けて、膨大な資本流出、通貨急落、夏の株価暴落など激動の1年となった2015年通年での経済成長は6.9%となった。今年に入って、金融市場ではいっそうボラティリティが増している。

 中国国家統計局のデータによれば、12月の鉱工業生産はわずか5.9%の上昇と市場期待を裏切り、景気減速と消費主導の成長へのシフトが、どれだけ産業部門に打撃を与えているかを浮き彫りにした。

 対照的に、12月の小売売上高は、これも予想を下回ったとはいえ11.1%と好調だった。

 フォード・モーターは第4・四半期の中国事業について好業績を報告しており、12月の売上高は27%増を記録した。

 フォードのマーク・フィールズCEOは先月、中国経済は「投資主導、工業主導から消費主導へと移行しつつある。GDPに占める消費の比率を見ても実際に伸びており、よい兆候だ」と述べた。「こうした移行を進めるなかで、多少の動揺は生じるだろう」と加えた。

向かい風

 消費財メーカーに中国減速の影響を受けていないわけではなく、市場の不振を報告する企業もあるが、おおむね軽視しているようだ。

 米アップルのルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)はロイターの取材に対し、中国経済には「これまでには見られなかった軟調さ」が見られると述べている。

 だが同社のティム・クックCEOは、基本的な需要トレンドは力強いとして、中国での投資計画を変更する予定はないと明言する。

 「中国のミドルクラスは、2010年には5000万人に満たなかったが、2020年までに約5億人に達すると予想されている。この人口動態は非常に魅力だ」とクックCEOは語る。

 フォードやユニリーバといった一部の企業は、中国国内でも先進市場では穏やかな成長を報告している一方で、中小規模の都市では停滞からの回復が見られるとしている。

 アイスクリームから清掃用品までさまざまな製品を扱うユニリーバのポール・ポルマンCEOは、「成長を生み出しているのは、大都市というよりも、実は沿岸部の中小都市だ」と話している。

 欧米風の消費パターンが広がっていることも企業に恩恵を与えている。仏高級酒類大手レミー・コアントローは、クリスマスのギフト需要が、旧正月市場の重要性の低下を相殺する形で、同社の事業にとってますます重要になっていると指摘する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

イスラエルのミサイルがイラン拠点直撃、空港で爆発音

ワールド

ロシア凍結資産、G7がウクライナ融資の担保に活用検

ビジネス

リスクオフ加速、日経1200円超安 イスラエルがイ

ワールド

トランプ氏口止め事件公判、陪審員12人選任 22日
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中