最新記事

中東

トルコ総選挙、与党単独で過半数獲得へ

エルドアン体制継続で権力基盤が強化される一方、社会的な分裂が一層進む可能性も

2015年11月2日(月)10時34分

11月1日、トルコ総選挙は投開票され、与党・公正発展党(AKP)が過半数の議席を獲得し、圧勝する見通しとなった。写真はAKP党首のダウトオール首相(2015年 ロイター/Umit Bektas)

 1日投開票のトルコ国会(一院制、定数550)総選挙は、与党・公正発展党(AKP)が過半数の議席を獲得し、圧勝する見通しとなった。エルドアン大統領の権力基盤が強化される一方、社会的な分裂が一層進む可能性もありそうだ。

 国営テレビTRTによると、開票率97.5%の時点で、AKPの得票率が49.4%となった。定数550議席のうち、単独で過半数を占める見通し。得票率はAKP内で想定されていた数値を大幅に上回った。

 AKP党首のダウトオール首相は支持者に向けて勝利宣言し、「きょうはわれわれの民主主義と国民にとって勝利の日だ。願わくば、次の4年間あなたがたに十分奉仕し、2019年にあなたがたの前に再び立ちたい」と述べた。

 また各政党に対し、新憲法に向けた協力を呼び掛けた。

 エルドアン大統領は、選挙結果には安定を望む有権者の声が反映されたとし、クルド反政府派に対し民主主義と暴力は共存しないというメッセージを送ったと述べた。

 シムシェク財務相は今回の選挙結果を受け、改革機運が盛り上がると指摘。「政治的な不透明感が後退し、トルコは改革を実行する大きな機会を得た」とロイターに語った。

 トルコ選挙管理委員会のサディ・ギュヴェン委員長は会見で、最終的な開票結果は11─12日以内に公表すると明らかにした。この間に各党からの異議について検討することになる。

 最大野党・共和人民党(CHP)の得票率は25.4%にとどまり、党幹部は結果を「惨事」と指摘。連立政権でエルドアン大統領をけん制できると踏んでいた望みがほぼついえたとした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦案、ハマスは修正要求 米特使「受け入れられ

ワールド

米国防長官、「中国の脅威」警告 アジア同盟国に国防

ビジネス

中国5月製造業PMIは49.5、2カ月連続50割れ

ビジネス

アングル:中国のロボタクシー企業、こぞって中東に進
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 6
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 7
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 8
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 9
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 10
    第三次大戦はもう始まっている...「死の4人組」と「…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 4
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 10
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中