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ナイジェリア

「少女誘拐」ボコ・ハラムは既に1万人を殺害

西欧の教育を否定し、ナイジェリアでイスラム国家の建設を目指すボコ・ハラムの残虐

2014年10月17日(金)12時18分
スネハ・シャンカル

暴力の支配 ボコ・ハラムは住民の殺害や少女の誘拐を続けている Joe Penney-Reuters

 4月にナイジェリアの学校から270人以上の女子生徒を連れ去ったイスラム武装勢力ボコ・ハラムは、これまでに少なくとも1万1000人を殺戮した──米ジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究大学院のOBグループが明らかにした。

 ボコ・ハラムは西欧の教育を否定し、ナイジェリア北東部に預言者ムハンマドの後継者(カリフ)を頂くカリフ制イスラム国家を建設することを目指している。

 同グループがまとめたデータによると、ナイジェリアでは98年以来、民族や宗教、政治などに起因する紛争が2300件を超え、少なくとも2万9600人が死亡した。うちボコ・ハラムの犠牲者は、その暴力がエスカレートした09年以降だけで全体の40%に当たる。昨年7月〜今年6月の1年間では、少なくとも7000人が殺害されたという。昨年のアフガニスタン内戦の犠牲者の2倍以上だ。

 調査を行ったグループのメンバーは「ナイジェリアが直面する過去数十年で最も死者数の多い紛争。世界各地の深刻な内戦に匹敵する規模だ」と、ワシントン・ポスト紙に語った。

 一方、地元メディアの報道によると、ナイジェリア軍は先週、北東部の町ミチカでボコ・ハラムに反撃した。「軍はミチカを掌握。この攻撃でボコ・ハラムの兵士約100人が死亡した」と情報筋は語っている。

 住民はいち早く町を脱出したというが、戦いで命を落とすナイジェリア人の数が減る気配はまだ見えない。

[2014年10月21日号掲載]

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