最新記事

スワジランド

王様の夢だった空港に飛んでくるのは閑古鳥

アフリカの小国スワジランド、誰も乗り入れない新国際空港のために自前の航空会社を作る絶対君主の愚行

2014年1月29日(水)13時03分
エリン・コンウェイスミス

盛装したムスワティ3世(右)。 いつまでわがままを続けられることやら…… Ann Hermes-The Christian Science Monitor/Getty Images

 昔むかし、とある山に王様が住んでいました。王様は自分の国を素敵な場所にしたいと思いました。世界中から飛行機が飛んでくる夢の国にしたいと。

 目指すは中東のドバイみたいな国際ハブ空港。でも、アフリカのちっぽけな国スワジランドには無理な話だ。「ここは人口わずか130万の誰も知らない小国で、世界の最貧国の1つですよ」と、一番賢い家来は王様を諭しました。「既に国際空港は1つあるのに、なぜまた?」

 ......それでも国王ムスワティ3世は譲らなかった。総工費約3億㌦を投じて10年が過ぎ、シクフェ国際空港が完成した。構造上の欠陥を伝えられたが、おとぎ話のように解消できたらしい。国王と妻15人の使う「ロイヤル・ターミナル」もできた。

 ただし新空港に乗り入れると言ってくれる外国の航空会社は皆無だった。何しろ南アフリカのヨハネスブルク国際空港まで、空路でわずか45分なのだ。
そこで国王の夢をかなえるため、新しい航空会社が設立された。投じた費用は推定で6億5000万ドル以上。ちなみに、この国の外貨準備高はわずか7億4000万ドルにすぎない。

 シュールな国、スワジランドへようこそ。ここはアフリカ唯一の絶対君主国だ。ムスワティ3世は86年の即位以来、国民の苦難をよそに浪費する王様として悪名をはせてきた。

 先週、スワジランドの民間航空局長はアフリカとアジア各地の10空港とシクフェ空港の間に新規路線を開設すると発表した。しかしスワジランドには既に国内唯一の航空会社スワジランド・エアリンクがあり、国際定期便を運航しているが、その利用客は年間わずか7万人程度。もう1社あった航空会社はとっくの昔につぶれている。

 地図上では南アフリカの一部のように見えるスワジランド。先王の時代の73年から、ずっと経済は破綻寸前だ。米人権擁護団体フリーダム・ハウスは昨年、伝統行事として(王様の目だけでなく)観光客の目も楽しませているトップレスの乙女の踊りについて厳しく指弾した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相、レバノン南部で作戦拡大指示 ヒズボ

ワールド

米保守派最多得票はバンス氏、共和党次期大統領候補の

ワールド

ウクライナ大統領、ヨルダン国王と安保協力巡り協議

ワールド

和平協議「数日内」とパキスタン、イランは米が地上攻
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のSNS動画が拡散、動物園で一体何が?
  • 4
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中