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「北極圏国家」を主張する中国の厚かましさ

記録的ペースで溶ける北極海の氷が危うい資源争奪戦に火をつけた

2012年10月25日(木)16時04分
ケビン・ダグラス・グラント

注目が熱すぎて 9月中旬には史上最小面積になった北極海の氷 Kathryn Hansen-Reuters

 記録的ペースで溶解を続ける北極海の氷。環境危機の象徴として注目される一方で、それによって可能になる天然資源開発にも熱い視線が注がれている。

 北極圏に眠る石油や天然ガス、鉱物資源といった「宝の山」への関心を特に強めているのが中国だ。圏内に領土がないのに「北極圏近郊諸国」の地位を主張し、同地域開発の中心的存在である「北極評議会」の常任オブザーバー入りを申請している。

 北極圏には世界の未発見原油の10%、天然ガスの30%が眠るといわれる。北極評議会を構成する8カ国(アメリカやロシア、カナダ、北欧諸国)も、氷の溶解で浮上する新航路や資源開発への投資を積極的に進めている。

 国連環境計画(UNEP)は、こうした開発のもたらす影響を警告。「氷の溶解が進んだことで人類が天然資源を求め、それがエネルギー源として使われてますます温暖化が進む。なんとも皮肉だ」と、UNEPのニック・ナットル報道官は言う。

 9月中旬には、北極海の海氷面積は観測史上最小を記録。今のペースでいけば、2020年までに夏の間は海氷が完全になくなるとの予測も出ている。

From GlobalPost.com特約

[2012年10月 3日号掲載]

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