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ビルマもう一つの快挙、為替改革

スー・チーのように英雄の顔こそしていないが、ビルマは為替の正常化で等しく大きな一歩を踏みだした

2012年4月3日(火)15時44分
パトリック・ウィン

民主化へ 為替改革もスー・チー支持者を貧困から救い出す力だ(4月2日) Reuters

 4月1日、ビルマ(ミャンマー)の民主化指導者アウン・サン・スー・チーは支持者の歓声に包まれながら大きな勝利を手にした。連邦議会の補欠選挙で、スー・チーを含む野党・国民民主連盟(NLD)の候補者40人が当選。人々は長い暗黒の時代を終えてやっと繁栄への道を歩むことができると、喜びの涙を流し未来への期待を膨らませた。

 この日、ビルマではもう一つ、大きな改革があった。為替制度の改革だ。それまで公定レートと実勢レートという不透明な「2重の為替レート」が使われていたが、これを実勢レートに1本化。一定の幅で通貨を変動させる「管理変動相場制」へと移行した。

 従来の複雑な「2重為替ルール」では、ビルマの通貨チャットの公定レートは実勢レートより約130倍も高く固定されていた。闇市場では1ドル=800〜850チャットなのに、公定レートでは1ドル=6チャットと過大評価されていたのだ。

 管理変動相場制への移行はスー・チーの勝利宣言ほど注目されていないが、ビルマの人々を貧困から救い出す重要な節目になるだろう。公定レートが実勢レートよりもはるかに高いことが、これまでビルマへの出資を躊躇していた外国人投資家にとって障害がなくなったからだ。外資の流入は特に貿易分野での雇用を生み、腐敗の排除にもつながるだろう。

 もちろん、リスクもある。外国人投資家による投機はインフレを引き起こしかねない。それでも投資家たちにとって不透明で足かせになっていた2重レートよりはましになったはずだ。

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