最新記事

インタビュー

スー・チーが語るビルマ改革の本気度

2012年2月27日(月)15時38分

――今回の改革はタン・シュエ(前国家平和発展評議会議長)が描いた青写真に沿って実行されているのか。

 違う。新政府が誕生し、テイン・セインがトップに立ったからこそ改革が進んでいる。彼は変化と改革の必要性を理解し、最善を尽くしている。政府内の改革派はほかにもいるが、彼なしに実現できたとは思わない。

――大統領と軍の関係は。

 彼は軍から尊敬されている。大統領は現政権の中でもまれな、汚職に手を染めていない人物の1人。彼だけでなく彼の家族も同様で、これはとても珍しいことだ。

――将来、大統領になりたいか。

 そうは思わない。この国の大統領になりたいかどうか決断できる自由が欲しいとは思うが。

――報道の自由については?

 本当の意味での報道の自由はまだない。ただ10年に軟禁を解かれたときに比べて、記者や出版物の数は倍以上になった。

――国民の生活水準を上げるためのアイデアはあるか。
 
 国民に権限を移譲すること。そうすれば、彼らは経済的に強くなる。

――経済自由化に賛成なのか。

 そう。でも経済の実態に合ったものでないといけない。銀行と投資に関する適切な法律が必要だ。銀行と関わりのある国民は今のところ少ししかいない。

――パソコンは使えるか。

 ええ。軟禁される前に勉強した。軟禁中も2台のパソコンを使っていた。1つはアップル製。もう1つは別のOS。2つ使えるのはすごいでしょう。

――現政権が改革を進めるのは、アメリカや国際社会の力を利用して中国の影響を排除するためだ、という声がある。

 必ずしもそうではない。軍高官の多くはアメリカとの関係改善を望んでいる。将軍の何人かは米軍の訓練経験がある。

――軍の思考回路を知っているのか。

 もちろん。忘れてほしくないが、私は軍人一家の出身だ。

――今の望みは何か。

 難しいが、選挙ですべての改選議席を獲得することだ。

*Slate特約

[2012年2月 1日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中