最新記事

リビア

カダフィの反攻を止める8つのステップ

犠牲を最小限に抑えつつカダフィ政権を打倒するには、「飛行禁止空域」を設定する前に備えるべきことがある

2011年3月11日(金)14時25分
トーマス・リックス(ワシントン・ポスト紙軍事担当記者)

承認の証 フランスのサルコジ大統領と握手するリビアの反体制派の外交責任者エサウィ(右、3月10日) Gonzalo Fuentes-Reuters

 フランス政府は3月10日、リビアの反体制派組織「国民評議会」を正当な政府として認めた。この発表は、内戦状態が続くリビアにNATO(北大西洋条約機構)が介入する扉を開いたとも言えるだろう。

 これは悪いことではない。何らかの行動をとらなければならない状況に至る場合はある。大量殺戮が起きてからでは手遅れになる――私はそんな懸念を抱いていた。

 ただし、NATOがすぐにでも「飛行禁止空域」を設定すべきということでは断じてない。それよりも、まず検討すべきステップがいくつかある。最初に考えるべきなのは、数百万のリビア人が自由のために戦おうとしていること。どうしたら彼らを手助けできるのか、ここでは順を追って8つのステップを提示したい。

■まずは、できるだけ早く戦車に対抗するための武器を反体制派に提供する。携行式ロケット弾(RPG)は、室内から発射したりしなければ、扱うのはそれほど難しくない。ヘリコプターも撃墜できる。

■最高指導者ムアマル・カダフィ大佐の部隊が空から及ぼす最大の脅威は、実は戦闘機ではなく、飛行禁止空域で対策をとるのが難しいヘリコプター。戦闘機と違って、ヘリコプターはどこでも自在に発着できるからだ。しかし反体制派にいくつかのRPGと50口径の機関銃(もしくは東欧などで使われる同等のもの)を与えれば、強力な抑止力になるはずだ。

■カダフィ側の通信を傍受して、部隊の動きや攻撃の標的に関する情報を反体制派に提供する。

■反体制派の支配地域に食料を供給する。

 フランスの情報機関は、作戦を効果的に遂行する手腕を高く評価されている。だから上記の4つの方法のうち、一部でも実行に移されていることを期待している。もしまだなら、バラク・オバマ米大統領は電話を掛け始めたほうがいい。

 さらに、次の4つのステップに向けて備えるべきだ。

■カダフィのために戦っている外国人の傭兵には厳しい罰則を与えると発表する。逆に、戦いを止めてリビアを去るなら恩赦を与える。

■飛行禁止空域の設定に向けて公的な手段を講じる。例えばイタリアのシチリア島とギリシャのクレタ島にある米軍基地の軍を増強し、リビアを東と西から威嚇する。

■飛行禁止空域の設定を発表する準備を進める。ただし、数週間あるいは数カ月間継続できると確認したうえで行う。

■カダフィを拘束するため人員をリビアに投入することを決定したら、同時に飛行禁止空域を設置する。カダフィの行動や配下の組織への指揮力を阻害するためだ。


Reprinted with permission from the "The Best Defense", 16/3/2011. © 2010 by The Washington Post Company.

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アイルランド、AI「グロック」への正式調査開始 性

ワールド

米ゴールドマン、取締役候補評価基準からDEI除外へ

ワールド

リオのカーニバルでルラ大統領たたえるパレード、野党

ワールド

カナダ首相、3月にインド訪問 包括的経済連携協定を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中