最新記事

イギリス

英軍事力削減に英政府がやきもき

2010年9月24日(金)12時53分
ジョン・バリー(ワシントン支局)

 NATO(北大西洋条約機構)の中では、イギリスほど部隊派遣の能力もやる気もあるアメリカの同盟国はない。だからアメリカは、イギリスの防衛政策見直しをやきもきして見守っている。問題は英政府が軍事予算を大幅に削減した後で、どの程度アメリカを支援できるかだ。「見通しは非常に悪い」と、あるNATO幹部は語る。

 キャメロン首相を議長に5月に新設された英国家安全保障会議は、政府と軍の関係者が4カ月にわたって調査した英軍の見直し案を検討中だ。フォックス国防相は、イギリスは「必要ならいつでも、外国に介入できる戦力を維持する」と発言している。

 しかし本誌がつかんだ3つの見直し案は、いずれも英軍の大幅な削減を提起。それは将来の紛争におけるイギリスの役割後退も意味する。このうち「熱意あるイギリス」案は、対テロ作戦を遂行できる戦力を維持するもの。「油断なきイギリス」案は、本土防衛に焦点を絞っている。そして「順応性あるイギリス」案は削減幅は最小で、防衛力の骨格と将来的に軍を再建できる土台は残す。

 オバマ米政権は今のところ静観しているが、最終決定の段階になれば横やりを入れてくるだろうと英政府関係者はみている。

[2010年9月29日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

防衛装備品の購入、すでに決定した計画に基づくと米側

ワールド

ロシア、黒海主要港で外国石油タンカーの荷積み禁止=

ワールド

仏内相、マクロン大統領を批判 27年大統領選視野に

ワールド

タイ、駐カンボジア大使を召還 国境の地雷巡り
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:山に挑む
特集:山に挑む
2025年7月29日号(7/23発売)

野外のロッククライミングから屋内のボルダリングまで、心と身体に健康をもたらすクライミングが世界的に大ブーム

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家安全保障に潜むリスクとは
  • 2
    参院選が引き起こした3つの重たい事実
  • 3
    レタスの葉に「密集した無数の球体」が...「いつものサラダ」に混入していた「おぞましい物体」にネット戦慄
  • 4
    アメリカで牛肉価格が12%高騰――供給不足に加え、輸入…
  • 5
    バスローブを脱ぎ、大胆に胸を「まる出し」...米セレ…
  • 6
    WSJのエプスタイン・スクープで火蓋を切ったトランプ…
  • 7
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量…
  • 8
    【クイズ】億万長者が多い国ランキング...1位はアメ…
  • 9
    中国経済「危機」の深層...給与24%カットの国有企業…
  • 10
    トランプ、日本と「史上最大の取引」と発表...相互関…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 6
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 7
    「カロリーを減らせば痩せる」は間違いだった...減量…
  • 8
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 9
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 10
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中