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オリンピック

フィギュアスケートは究極のマゾ競技

2010年2月24日(水)17時27分
ジョセリン・ジェーン・コックス(元フィギュアスケート選手)

 唯一の心の慰めは、若き日のすべてを競技にかけて報われかなった人が、私以外にも大勢いることだ。こんな不満だらけの話を聞くと、私が競技人生で何を学んだのかと疑問に思うかもしれない。

 私が学んだのは、オリンピック選手も普通の人間だということだ。ただし、彼らはその他大勢の人々よりほぼあらゆる面で秀でている。「もっと上」をめざし、怪我をしても気にしない。発達した筋肉をもち、健康そのもの。努力が報われる保証もないのに、何年もの間、毎日スケートに打ち込んでいる。

 試合当日のパフォーマンスも見事だ。落ち着いた態度で、笑顔さえ見せる。さらに、彼らには目に見えない不思議な才能もあるのかもしれない。それが何なのか、私にはわからなかったが。

 私が練習で手に入れた唯一の宝物は、形のいいふくらはぎの筋肉だ。金メダルや銀メダル、銅メダルと同じく、この残念賞も手に入れるには大変な努力が必要で、驚くほど長期に渡って効果を発揮する。

 最後に、こんな私がバンクーバー・オリンピックをテレビで観戦していると思う? もちろん。テレビの前で負け惜しみをつぶやきながらも、心の底からアメリカ選手に声援を送っている。 

(筆者はNY在住で、フィギュアスケートのコーチとフリーランスライターを兼務している)

*Slate特約
http://www.slate.com/

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