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インドネシア

「次のBRICs」を悩ます身中の敵

2010年2月18日(木)15時02分
ソレン・オノリーヌ

 次の新興市場はどこか──専門家の間で急浮上しているのがインドネシアだ。モルガン・スタンレーは昨年6月、GDPが4%のペースで成長する同国をBRICsに加えるべきだとする報告書を発表。7月に行われた大統領選では、経済再生の立役者ユドヨノが再選を果たした。ユドヨノの支持率は今も70%台を誇る。

 だが、連立与党内の守旧派は改革を頓挫させようともくろんでいる。昨秋には警察と検察の高官が、汚職撲滅委員会幹部の収賄疑惑などをでっち上げた。それが失敗すると、今度は議会が、08年に2人の改革派によるセンチュリー銀行救済の経緯について調べ始めた。その2人とは、当時中央銀行総裁だったブディオノ副大統領とムルヤニ財務相。共に同国の経済発展に寄与した人物だ。

 彼らが進める市場改革は、縁故主義が幅を利かせる独裁政権に漬かり切った守旧派には脅威だ。特に実業家でもあるゴルカル党のバクリ党首は、08年に自分の石炭会社の救済に反対したムルヤニを起訴しようと企てている。

 守旧派をなだめるのは容易ではないだろう。ユドヨノが対決を避ければ膠着状態が「5年は続き、改革は挫折する」と戦略国際研究センター(ジャカルタ)のユスフ・ワナンディ所長は警告する。

[2010年2月24日号掲載]

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