最新記事

麻薬密輸

テロ組織とゲリラを結ぶ危険な線

2010年1月22日(金)15時15分
山田敏弘(本誌記者)

昨年12月16日、米麻薬取締局(DEA)によるガーナでのおとり捜査によって、マリ国籍のアフリカ人3人がコカイン密輸容疑で逮捕された。起訴状によれば、3人はアルジェリアに拠点を持つテロ組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」に所属。コロンビアの反政府左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)と協力し、モロッコなどを経由してスペインへの密輸を計画していた。

 米主導の「麻薬戦争」が成果を挙げるなか、南米から欧米への麻薬密輸は困難になりつつある。そこで麻薬密売組織は別のルートを求め、同じ反米のイスラム過激派組織に目を付けたとみられる。

 「アルカイダとFARCといった武装組織が麻薬密輸で結び付き、資金集めをしているのは間違いない」と、DEAのミシェル・レオンハート局長代理は言う。「厄介な協力関係が生まれている」

 メキシコのカルテルも同ルートで密輸を始めているとの指摘もあり、多くの場合、ベネズエラを経由してアフリカに空輸しているとされる。こうした密輸でアフリカのテロ組織は資金を集め、ゲリラ組織は反政府攻撃を継続しようとしている。ゲリラとテロ組織が連携を強めれば、欧米各国は新たな脅威に直面することになるだろう。

[2010年1月27日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-〔アングル〕日銀利上げ判断、米クリスマス商戦

ワールド

イスラエル軍、ガザ市で住居破壊進める 31人の市民

ワールド

「現実とは思えない」、専門職ビザ規制に怒りや失望 

ワールド

米高度専門職ビザの新手数料は1回限り、既存ビザは対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 2
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがたどり着ける「究極の筋トレ」とは?
  • 3
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 4
    トランプに悪気はない? 英キャサリン妃への振る舞い…
  • 5
    「ミイラはエジプト」はもう古い?...「世界最古のミ…
  • 6
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 7
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 8
    「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世…
  • 9
    異世界の魔物? 自宅の壁から出てきた「不気味な体の…
  • 10
    【クイズ】21年連続...世界で1番「ビールの消費量」…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 3
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分かった驚きの中身
  • 4
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 5
    【動画あり】トランプがチャールズ英国王の目の前で…
  • 6
    筋肉はマシンでは育たない...器械に頼らぬ者だけがた…
  • 7
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 10
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中