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抗議デモ

イラン動乱は終わらない

死後40日の追悼日チェヘロムが続く限り、改革派がアハマディネジャドの圧政に立ち向かう「緑の革命」が死ぬことはない

2009年7月31日(金)17時36分
ババク・デガンピシェ(バグダッド支局長)

緑の誓い パキスタン・イスラマバードで開かれた改革派支持の集会でイラン生まれの市民が緑の布を掲げる(7月30日) Faisal Mahmood-Reuters

 一見するとイランの改革派支持者は、マフムード・アハマディネジャド大統領が再選された選挙結果を覆すことをあきらめてしまったように見える。抗議デモへの広範な支持は消え失せ、抗議を続けるのは裕福な世俗主義者だけ――。当局による厳しい取り締まりと運動や集会の制限も、反体制派上層部の活動を阻んでいる。

 しかし7月30日に行われた抗議運動の犠牲者への追悼デモは、「緑の革命(グリーン・ウエーブ)」が今後も生き続けるだけでなく、将来的に力強くよみがえり得ることを示している。

 30日は、抗議デモで銃弾を受けた若い女性ネダ・アガ・ソルタンが6月20日に亡くなってから40日の「チェヘロム」という追悼日だった。ネダの最後の瞬間の衝撃的な動画はウェブにアップされ、反体制派が勢いづくきっかけとなった。テヘラン南方の郊外にあるベヘシテ・ザハラ墓地にネダの死を悼む数千人が集まり、治安部隊と衝突(数十人が負傷し、多くが逮捕された)、「独裁者に死を」と叫び声を上げた。改革派のミルホセイン・ムサビ元首相は治安当局によって墓地から退去させられた。

現政権もチェヘロムを利用した

 チェヘロムはイラン人や世界中のイスラム教シーア派信者にとって重要な意味をもつ。その起源は預言者ムハンマドの孫イマム・フセインの殉教にまでさかのぼる。そしてイランでは政治的な意味合いも帯びている。1979年のイスラム革命では、チェヘロムが国王への抗議を始め、街頭集会を続ける口実に使われたからだ。

 同じことが今も起きている。ただし、イスラム革命に参加した者たちは今は政府内部にいる。彼らはチェヘロムを口実に政治的な活動をするなとはとても言えないはずだ。

 しかし現実にはそういう事態が起きている。6月に選挙への抗議運動が始まって以来、治安当局は犠牲者の遺族が大きな葬儀を行うことを妨害しており、これに犠牲者の関係者は激怒している。当局はまた、遺族が遺体をテヘランに埋葬することも禁止している。支持者が集まる拠点をつくらせないためだ。

 30日の追悼集会は、取り締まりのおそれがあるにもかかわらず、改革派がまだ支持者を動員する力があることをはっきり示した。イランのニュースサイト「ファルシ・ニュース」によると、数百人の警官隊や私服の民兵組織バシジが墓地を取り囲んだが、改革派支持者は昼過ぎから墓地に集まり始め、ナダの墓に向かおうとした。Youtubeに投稿されたビデオでは、群集がムサビの乗った車を取り囲んで彼の名前を叫んでいる。

 「イラン国民は世界がイランに注目していることを知っている」と、先週ニューヨークで行われた集会に参加した反体制派ジャーナリストのアクバル・ガンジは言う。

 ネダの死は反体制派の支持者を呼び集めたが、犠牲者は彼女1人ではない。先週イラン政府は、拘留中だったデモの逮捕者4人が死亡したと発表した。その中には、保守派の大統領候補モーセン・レザイの顧問の息子、モーセン・ルホラミニもいた(当局は政治犯を収容する悪名高いエビン刑務所で髄膜炎が発生したと主張しているが、ファシリ・ニュースはこうした逮捕者の多くが拘留中の暴行で死亡していると報じている)。

 今から1カ月後には彼らのチェヘロムがやってくる。そして、消えつつあった改革派支持者が再び抗議運動に戻ってくる。そうやって、すべての犠牲者は「緑の革命」の中で新たな命を生き続ける。

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