最新記事

世界に挑戦する日本のエンタメ

ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイドル主演なら金を出す」と言われることも...

Hikari

2024年08月07日(水)14時55分
猿渡由紀(ロサンゼルス在住映画ジャーナリスト)

『BEEF/ビーフ~逆上~』の場面写真

3話の監督を担当した『BEEF』も高い評価を得た ANDREW COOPER/NETFLIX

次作も新たなジャンルへ

長編映画監督デビュー作は、19年の『37セカンズ』。舞台は東京で、主人公ユマは障害があり、車椅子で生活する20代前半の女性。

漫画を描くのが得意なユマは、アダルトコミックの編集部に作品を持ち込むが、自身に体験がないことをすぐに見抜かれてしまう。そこから冒険に出た彼女は、新たな人たちと出会い、少しずつ自分を見つけていく。主演はオーディションで発見した、実際に障害がある佳山明。



「アメリカは障害がある人たちにそう悲観的ではないけれど、日本にはおもてなしの文化があり、優しい人たちがいる一方で、自分の知らない世界には立ち入らない、分からない人は助けないという雰囲気があるじゃないですか。これは世界に通じる話だけれど、日本に対するメッセージとも考え、日本で撮影しようと思ったんです。でも難しかったですよ。アイドル(を主役にする)ならお金を出すとも言われましたが、それは絶対にやりたくなかった。オーディションの結果、良い人が見つからなかったら女優さんを探すとしても、しっかりお芝居ができる人しかこの役は難しいですし。幸い明ちゃんに出会え、NHKがテレビ放映権を買ってくれることに。脚本で主人公は下半身不随の女性でしたが、明ちゃんは脳性麻痺なので書き直しました」

この映画は19年のベルリン国際映画祭で、パノラマ部門の観客賞を受賞した。その後、アンセル・エルゴート、渡辺謙が出演するMaxのドラマ『TOKYO VICE』で2話を監督。


第1話を含む3話の監督をオファーされた23年のネットフリックスドラマ『BEEF/ビーフ~逆上~』も、エミー賞を含む多数のアワードで複数部門を制覇するなど高い評価を受けた。


『TOKYO VICE』は犯罪スリラー、『BEEF』はコメディーとまるで違うタイプの作品だ。『レンタル・ファミリー』の次は、これまた新たなジャンルの作品が決まっている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB議長候補11人と9月1日前後に面会、絞り込み

ワールド

中国外相、レアアース需要への対応約束 インド当局者

ワールド

ハマス同意のガザ停戦案、イスラエルは回答を精査中 

ビジネス

中国シャオミ、第2四半期は予想上回る30.5%増収
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「労働と魅力の関連性」 化粧とヘアセットしている…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 5

    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていた…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 2

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は

特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は

2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える