最新記事

英王室

エリザベス女王の憂鬱、「健康不安説」「不人気な息子」「もっと不人気な孫」

GOD SAVE THE QUEEN

2021年12月22日(水)19時54分
ジャック・ロイストン(英王室担当)
エリザベス女王

エリザベス女王は在位70年の間に公私共に多くの困難をくぐり抜けてきた CHRIS JACKSONーWPA POOL/GETTY IMAGES

<2022年に在位70周年を迎えるエリザベス女王に心身の衰えが見られるなか、スキャンダルまみれのイギリス王室は存続できるのか>

イギリスで1952年、エリザベス女王が即位したとき、アメリカの大統領は今は亡きハリー・トルーマンだった。現職のジョー・バイデン大統領は小学生だったし、現在の英国民6800万人の約85%はまだ生まれてさえいなかった。

女王は現在95歳。その母親で、クイーン・マザーの呼称で親しまれた皇太后は101歳まで生きた。

英国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン(神よ、女王を守りたまえ)」が最後に歌われるとき、王冠は女王の長男であるチャールズ皇太子に受け継がれる(そして国歌は「ゴッド・セーブ・ザ・キング(神よ、国王を守りたまえ)」になる)。内向的で、華がなくて、悲劇の死により聖人視されるようになったダイアナ元妃の影から決して逃れることができない人物だ。

チャールズも73歳と、十分高齢。2021年11月14日の誕生日は、戦没者を追悼する「英霊記念日曜日」と重なった。その日は女王が10月に予定外の1泊入院を経て異例の静養を取り、3週間ぶりに公の場に姿を見せる日になるはずだった。

ところが当日の朝になって王室は、女王が「腰の筋を痛めた」ため、「大変残念ながら、英霊追悼礼拝に出席できないと判断した」と声明を発表した。「女王陛下は礼拝に出席できないことに落胆している」

「国民に知らされていないことがある」

たちまち女王の健康状態をめぐる臆測がメディアにあふれた。「われわれには知らされていないことがある」と、コメンテーターのピアーズ・モーガンはツイートした。「女王の健康状態が、王室の発表よりも深刻な状態であることは明らかだ」

王室は今も、女王がオンライン謁見などの「軽い公務」を続けられると「希望を抱いている」とされる。無理もない。長年連れ添ったエディンバラ公フィリップ殿下が21年4月に死去して、心身共に衰えを見せる女王の肩に、イギリスの君主制の未来が懸かっているのだから。

211228P58_EOS_02.jpg

プリンセス時代のエリザベスと婚約者フィリップ BETTMANN/GETTY IMAGES

英王室はイングランド時代を含め1000年以上にわたり、無数の戦争とスキャンダルと反乱と、王朝の変遷を乗り越えてきた。だが、ソーシャルメディアに華やかな映像があふれる時代には、伝統や壮麗な式典といった王室の最強の財産は昔のような憧憬の念を抱かれなくなった。

それに国民は君主を選べない。これは、人気が下がる一方のチャールズにとっては好都合であるけれど。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国の次期5カ年計画、消費拡大が焦点に 投資・輸出

ワールド

タイCPI、6月は前年比-0.25% 3カ月連続マ

ビジネス

焦点:増産に舵切った日本のコメ政策、価格の落ち着き

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落、米関税にらみ上値重い 中国
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 2

    カーダシアンの顔になるため整形代60万ドル...後悔し…

  • 3

    キャサリン妃の顔に憧れ? メーガン妃のイメチェンに…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    大叔母「麗人・アン王女」を彷彿とさせる、シャーロッ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    カーダシアンの顔になるため整形代60万ドル...後悔し…

  • 5

    キャサリン妃の顔に憧れ? メーガン妃のイメチェンに…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 4

    なぜメーガン妃の靴は「ぶかぶか」なのか?...理由は…

  • 5

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプvsイラン

特集:トランプvsイラン

2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる