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孤独と脳の関係──想像を司る部分が発達、認知症リスクに影響か

2020年12月25日(金)15時45分
松丸さとみ

その結果、孤独を感じている人たちは、「思い出にふける」「将来を計画する」「他の人のことを考えたり想像したりする」といったことに関連する脳の部分である「デフォルト・ネットワーク」が密接につながっており、その部分の灰白質も厚いことが分かった。その理由として研究チームは、孤独な人たちが、想像力を使って過去の出来事を思い出したり、将来の希望を思い描いたりして、実際の社会的な交流の欠如を補っているからではないかとみている。

フロリダ大学のケネス・ヒールマン名誉教授(今回の研究には参加していない)は米CNNに対し、孤独を感じているときにこうした脳の部分が発達する一方で、使用しない部分が衰えるということかもしれないと説明する。

今回の研究の主執筆者である、マギル大学のネイサン・スプレング博士はCNNに対し、孤独が脳のどの部分に影響するのかを特定するという意味で、今回の研究は非常に重要だったと述べた。研究チームは現在、高齢者のサンプルを多数検証しており、そこからは、脳が加齢していく様子や、孤独の経験が脳の萎縮を加速しているであろう様子が見て取れるという。さらに新型コロナで引き起こされる孤独について同博士は、若い人と比べ高齢者にはもっと支援が必要かもしれないと話している。

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