最新記事

占い

ミレニアル世代の赤ちゃんを狙う星占いブーム

What’s Your Sign, Baby?

2020年11月04日(水)17時00分
ヘザー・シュウィドル

マティシクは、子供が成長して注意力が向上するにつれ、親は読み聞かせる内容を掘り下げ、本が提供する情報を詳しく教えられるようになると言う。彼女の1歳の息子は一冊丸ごと読み聞かせる間もおとなしく座っているようになったし、3歳の娘は今や本にすっかり夢中だ。

娘の年齢の子供にとって星占いの魅力の1つは、子供が大好きな誕生日に関係していることだと、マティシクは思う。「小さい子は自分の誕生日がいつか、何歳になるのか、他の人の誕生日がいつかを、いつも知りたがっている」

本の著者や編集者は、たとえ乳幼児向けの本であっても、読み聞かせをする星占い好きな大人に認められる内容にしたいと考えている。

「できるだけ本格的な占星、例えば『支配星』の話も織り交ぜた。牡牛座は金星に支配されるので、音楽や芸術や美に対する関心が高いとか」と、ハーパーは説明する。

本当に意味があるのか

ダブルデイの「ベビー・アストロジー」シリーズの文章とイラストを担当したロキシー・マージは、星座を「ロマンチック」と表現するのは避けるよう編集者に言われたことがあるという。幼い子供には意味不明だからだ。

星座の持つマイナスのイメージを喚起しないよう気を付けている執筆者もいる。マティシクは言う。「私はさそり座なのだけれど、10代の頃に読んだ星占いは、いつも『今週は大変な週になるでしょう』という感じだった。『え、今週も大変なの?』と毎週思っていた」。そこで彼女は『私の最初の星占い』で、さそり座の子供の運勢についてネガティブなことを書かないと決めたという。

「マイ・スターズ」シリーズのイラストを描いたリジー・ドイルも同じ問題にぶつかった。「さそり座についてのイラストは、たぶん一番難しい。さそりの見た目を怖くしては駄目。だから爪と体の各部分を、ぬいぐるみのように分厚く柔らかい感じに描いた」

ドイルには、ほかにも気になることがある。絵本が精神世界をどこまで描くべきか、子供の読み物としてそれが適切かどうかだ。

子供に与えるべき本ではないと思う人がいることは、本の制作者側も分かっている。「ばかばかしい、くだらないと思う人は必ずいる」と、スタインは言う。

幼い子供にとって、星占いは本当に意味があるのだろうか。マティシクは、子供の星座の特徴が行動に表れていると考えている。牡牛座の息子は「とても強情」で、「やりたいことをやりたがる」。魚座の娘は「歌が好きで、とても音楽に関心がある」と言う。

こんな話は3歳児には分からない。「娘はまだ、その星の下に生まれた人の特徴を理解していない」と、マティシクは言う。でもそれは、大して重要ではなさそうだ。「あの子は自分が魚座であることを、とても喜んでいるから」

©2020 The Slate Group


20201110issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月10日号(11月4日発売)は「アメリカ大統領選 中国工作秘録」共産党が勝たせたいのはトランプかバイデンか。[PLUS]「千人計画」の盲点

[2020年9月22日号掲載]

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米航空管制官不足で8000便以上が遅延、今後数日も

ビジネス

企業向けサービス価格、伸び4カ月ぶり3%台回復 人

ワールド

タイ輸出、9月は前年比19.0%増 予想大幅に上回

ワールド

中国、安定したオーストラリアとの関係望む=李首相
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 4

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 5

    話題の脂肪燃焼トレーニング「HIIT(ヒット)」は、心…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:脳寿命を延ばす20の習慣

特集:脳寿命を延ばす20の習慣

2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ