最新記事

環境

ペットにミミズ!? 休校中の子供と一緒に環境問題考えるきっかけにも 

2020年05月05日(火)19時00分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

オーストリアのヴィッツェネダー兄弟が考案した木製椅子型ミミズコンポスト。木は同国産の針葉樹。乾燥した場所に置けば15年は使えるという © wurmkiste.at

<レジ袋が有料化される時代、生ゴミを減らしたい人にピッタリのペットがいる>

犬や猫、熱帯魚、鳥などペットは飼い主にとって、家族の一員だ。そんな一員にミミズが加わるとしたら? でも、なぜミミズ? ミミズに台所から出る生ごみを食べてもらい、堆肥化するためだ。

ミミズコンポストは、日本でも知られている。原理は簡単で、蓋をした容器をミミズの家にし、そこへ定期的に(1日に1回、3日に1回多めになど)生ごみを与えると、ミミズがそれを食べて堆肥になる。

もちろん、これだけでは世界で排出される膨大な生ごみの問題は解決できない。しかし、少しでも減らすことに貢献できる。最近、ヨーロッパでミミズを飼う人がじわじわ増えている。

パリでは、ミミズコンポストを無料配布

ヨーロッパ全体の状況を把握しているわけではないが、たとえばフランスのパリでは、「パリのコンポスト計画2016-2020」というゴミ軽減の一大プランが決まり、2017年から市民にミミズコンポストを無料配布している。同年に500個、翌年は1500個以上、昨年は1500個配布した。希望者が殺到し、ウェイティングリストもあったほどだ。今年は秋に配布が予定されている。

オーストリアでは、ワームシステムズ社(Wurmkiste.at)が木製椅子型コンポスト「ヴルムキステ」を考案して人気を集めている。蓋にクッションが付いて座部になり、底には車輪が付いていて移動が楽だ。

2015年に設立し、2020年3月までにウィーンだけで2000個以上を販売した。注文は増える一方で、オーストリア以外にも広がり、周辺国、アメリカ、アジアからも注文がある。

スイスでは、スタートアップが陶器製の「ワームアップ」を販売し、4,5年前から注目を浴びている。ミミズコンポストはプラスチック製が多いので、陶器製は目を引く。

チェコでは、同国の著名インテリアデザイナーがデザインしたミミズコンポスト「ウルバライブ」を製造している。権威あるデザイン賞として名高いドイツの「レッドドットデザイン賞」を2017年に受賞し、他国でも好評を得ている。

デザインを重視したため、確かにお洒落。ベージュ、黄緑、グレー、茶の4色から色が選べるというのもミミズコンポストではあまりない。

ミミズコンポストは手作りも可能だ。市販品は小型なものが多く、キッチン、リビングルーム、バルコニーにも置けるので、家が狭くても大丈夫だ。上記のメーカーには「初めて堆肥を収穫できた」「子供がとても喜んでいる」「すごくいいアイデアで環境のことを考えるうえで刺激を受けている」「自作品よりお洒落でいい」といった声が多数届いている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、「中立金利」到達まで0.5%幅の利下げ必要

ワールド

米国版の半導体の集積拠点、台湾が「協力分野」で構想

ワールド

アフガン北部でM6.3の地震、20人死亡・数百人負

ワールド

米国防長官が板門店訪問、米韓同盟の強さ象徴と韓国国
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 3

    3.11から9年、福島の避難指示区域は野生動物の楽園に

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 3

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 4

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:高市早苗研究

特集:高市早苗研究

2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える