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映画の登場人物の1人になれる 「没入型」のシークレット・シネマ

Disney Teams Up With Secret Cinema

2020年04月15日(水)15時10分
セーラ・アトキンソン(ロンドン大学キングズ・カレッジ教授)、ヘレン・ケネディ(ノッティンガム大学教授)

『28日後...』の会場では参加者もウイルス感染の恐怖におののいた HANSON LEATHERBY © SECRET CINEMA

<大掛かりなセットと凝った演出でファンを魅了するイマーシブ上映。シークレット・シネマがディズニーと手を組み「体験する映画」が拡大する>

ディズニーは先日、ロンドンに拠点を置くエンターテインメント企業シークレット・シネマと契約を結んだ。2社の提携で映画産業の新時代の幕が切って落とされそうだ。

シークレット・シネマは大掛かりな体験型の映画上映イべントで知られる。使われていない倉庫や公園などに映画のセットを再現。観客は謎めいた指示に従ってコスプレをして会場に向かう。

会場に入る際にはスマートフォンは袋に入れて密閉され、撮影はNG。大勢の役者やダンサーが観客も巻き込んでストーリーに沿ったパフォーマンスを繰り広げ、観客は作品世界に入り込んで映画を楽しめる。パフォーマンスと作品上映でイべントは数時間(場合によっては週末の3日間も!)続く。

架空の世界や仮想空間に入り込んだ気分になれるこうした 「イマーシブ(没入型)」エンターテインメントは、大きな商機が見込める。バーチャル・リアリティー(VR=仮想現実)などイマーシブ技術の市場規模は全世界で1600億ドルに上るとみられ、ディズニーとシークレット・シネマの提携は収益とコンテンツの両面でエンタメ業界に大きな影響を及ぼしそうだ。

イマーシブ上映で実績のあるシークレット・シネマが、世界中の映画ファンに愛されるディズニーと手を組めば、まさに最強のタッグ。この両者によるイべントは、イマーシブ系ビジネスの世界的なトレンドを決定付けるだろう。

年内にまずロンドンでディズニー作品が観客参加型で上映され、続いてアメリカでも同じ形式で上映される。

他社の追随を許さず

このビジネスで重要なのはモノではなく体験だ。ライブ演奏や各種フェスティバル、スポーツイべントから始まった体験型消費は、今や外食やショッピング、映画などレジャー産業全体に広がっている。日常から懸け離れた体験であればあるほど、そしてその体験に深く没入できるほど、顧客の満足度は高い。

イギリスでシークレット・シネマの名が知られ始めたのは2007年。当初は廃線になった鉄道のトンネルなどでアート系映画のイマーシブ上映を試みていたが、やがて大掛かりな仕掛けでハリウッドの名作の上映イべントを行うようになった。

20年以上前の旧作が、シークレット・シネマのおかげでイギリスの興行成績ランキングの上位に躍り出るといった現象も起きた。

新作映画のPRを兼ねたイマーシブ上映に先鞭をつけたのもシークレット・シネマで、17年にイギリスで公開された韓国の朴贊郁監督のホラー『お嬢さん』のイマーシブ版プレミアも手掛けた。

その人気にあやかろうと他社の参入が相次いでいるが、スケールの大きさでも、細部までこだわった凝った演出でも本家本元にはかなわない。

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