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アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオンラインも、なぜモテない

Left Swipes for Asian Men

2020年03月24日(火)16時40分
ユエ・チエン(ブリティッシュ・コロンビア大学社会学助教)

社会にはびこる固定概念によりアジア系男性はアジア系女性と違って異人種から恋愛相手にされないケースが多い LEOPATRIZI/ISTOCKPHOTO

<アジア系男性が恋愛市場で「序列の最下層」の現実に。オンライン上の恋人探しサービスでさらに拍車が>

恋人を見つけたい人にとって、インターネットが有力な手段の1つになって久しい。今では恋人探しサイトを通じて出会うカップルは珍しくなくなっている。

この傾向は、人々のパートナー選びの在り方をどのように変えたのか。

恋人探しサイトを用いれば、潜在的なパートナー候補の人数が劇的に拡大する。その結果として、自分とは違う社会階層や人種の人と付き合うケースは増えたのか。それとも、オンラインサービスの検索機能を活用することにより、昔よりもパートナー候補の社会階層や人種を絞り込む傾向が強まったのか。

私はカナダでこの点について研究を始める前に、自分のパートナー(男性)と一緒に小さな社会実験を行った。

私たちは、ある有力な異性愛者向けの恋人探しサイトに2人分のアカウントを作成した。1つは私(アジア系女性)の写真、もう1つはパートナー(アジア系男性)の写真を用いた。ルックスの影響を排除するために、横顔の写真と、屋外でサングラスを掛けた写真の2枚を載せた。

いずれも、「ブレイク」という男性にも女性にもある名前で登録し、趣味など情報は全く同じ内容にした。その上で、それぞれが潜在的な候補者の中から毎日50人ずつを無差別に選び、関心があるという意思表示をしてみた。

弱々しいという固定観念

すると、女性のアカウントには毎日たくさんの人から関心を示されたり、メッセージが届いたりしたが、男性のアカウントは全く相手にされなかった。私のパートナーは傷ついた。これはあくまでも実験で、実際に恋人を探していたわけではなかったが、わずか数日で実験を打ち切りたいと言ったのだ。

同様の経験をするアジア系男性は多い。私の聞き取り調査に応じた26歳の中国系カナダ人男性はこう語った。「メッセージを送っても相手から反応がなかったり、誰からもメッセージが届かなかったり。拒絶されているような感じがして、不愉快だった」

多くの社会学的研究によれば、アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」に位置している。実際、北米の若いアジア系男性の独身率は、白人や黒人、中南米系より高い。

アジア系男性は、アジア系女性と比較しても不利な立場に置かれている。パートナーがいない人の割合は、若いアジア系女性が18%なのに対し、若いアジア系男性の場合は35%に達している。

このような男女格差が生まれている一因は、アジア系男性がアジア系女性に比べて、異人種のパートナーを見つけにくいことにある(アジア系男性がアジア系女性より、異人種のパートナーと付き合うことに消極的というわけではない)。それは、北米の社会でアジア系男性とアジア系女性が持たれているイメージの違いが原因だ。

アジア系女性は、エキゾチックで、伝統的な女性らしさの規範に従っているという固定観念を持たれているため、男性から好まれることが多い。それに対し、アジア系男性は、弱々しくてオタクっぽいというイメージを持たれているため、女性から敬遠されがちだ。

テクノロジーが生む壁

このように、特定の人種が恋人探しで不利な立場に追いやられる現象は、「セクシュアル・レイシズム(性的人種差別)」と呼ばれる。

オンライン上の恋人探しサイトは、恋人同士の出会いの在り方を大きく変えたが、現実世界の恋愛と変わっていない面も多い。アジア系男性が恋愛市場の底辺に置かれる状況は、現実世界だけでなく、サイバー空間でも見られる現象なのだ。

アメリカで実施された研究によると、どのような人種のパートナーと付き合いたいかという問いに対して、アジア系以外の女性の90%以上がアジア系男性を拒否している。

別の研究によれば、恋人探 しサイトで最も多くメッセージを受け取る男性は白人だ。 一方、返信以外でメッセージを受け取ることが最も少ないのは、アジア系男性だという。

恋人探しサイトでは、相手に望む条件を入力してパートナー候補を絞り込める。そのため、人種のように単純明快な要素が恋人探しに及ぼす影響は昔に比べて大きくなっているのかもしれない。一部の人は人種や性別を理由に最初から排除されてしまい、オンラインでの出会いのチャンスが閉ざされているのだ。

恋人探しサイトを利用して20年近くになる54歳のフィリピン系カナダ人男性は、私にこう語った。「もうオンライン(の恋人探しサイト)は嫌だ。不当な扱いを受ける...... 言ってみれば、打席に立つチャンスさえ与えられない」。 自分がどのような人間かを知ってもらうことすら許されない、というわけだ。

この点を自覚している女性もいる。ある25歳の白人女性は、オンラインサービスより現実世界で恋人を探したいと言う。そのほうが先入観を持たずに済むからだ。

「現実世界のほうが先入観による決め付けを排除できる。オンラインでパートナーを探す場合、私たちは最初に相手を品定めしようとする。相手も同様の姿勢で臨む......その結果、多くの壁が生まれる」

インターネットのテクノロジーは世界から境界線をなくした面も多いが、恋人探しに関しては必ずしもそのような機能を果たせていない。社会に存在する境界線はそのままになっている。

こうして、多くのアジア系男性が恋愛市場で過酷な経験を強いられ続けている。

The Conversation

Yue Qian, Assistant Professor of Sociology, University of British Columbia

This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.


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