最新記事

英王室

英王室メンバーが低所得層の町の公営住宅に。屈指のユーモア小説が示すのは......

A Prescient Comic Read

2020年02月19日(水)18時00分
ダン・コイス

「元王族」の値打ちは?

しかし、小説の中のダイアナは、度を越して能天気な人物として描かれる。べンツに乗れなくなったことを残念がり、近所の女性たちのひどいファッションをばかにする。一方、夫のチャールズは、裏庭を散策できればそれだけで満足だ。ミセス・ウィンザーの愛犬のコーギーが庭じゅうでおしっこをするので、犬とけんかばかりしている。

『女王様と私』は王室の面々の間抜けぶりを容赦なく笑いものにするが、女王に対しては愛情と敬意が見て取れる。女王は一族の誰よりも新しい生活に適応し、元の暮らしに戻るのはごめんだと言う。

ヘンリーは、兄のウィリアム王子ともども町の少年たちと徒党を組んでで行動する。もし現実のヘンリーが92年にこのような生活を経験していれば、いま普通の生活を目指す試みはもっとうまくいっていたかもしれない。

同じ町で暮らすミセス・クリスマスという女性は、浮世離れした新しい隣人たちが近所に引っ越してきたせいで、平穏な日々を奪われたことへの不満を述べる。「普通の人になったら、王族たちに何の価値があるの?」

現実のヘンリーが苦い思い出この言葉をかみしめる日が来なければいいのだが。

【参考記事】英王室に爆弾を放り込んだスーパーセレブ活動家メーガン妃の野心

©2020 The Slate Group


20200225issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年2月25日号(2月18日発売)は「上級国民論」特集。ズルする奴らが罪を免れている――。ネットを越え渦巻く人々の怒り。「上級国民」の正体とは? 「特権階級」は本当にいるのか?

[2020年2月11日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ

RANKING

  • 1

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    ロックンロールの帝王を捨てた女性の物語、映画『プ…

  • 4

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 5

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 1

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

  • 2

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    「テニスボール貫通ピンヒール」の衝撃...ゼンデイヤ…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    キャサリン妃とウィリアム皇太子の「ご友人」...ロー…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    メーガン妃は「努力を感じさせない魅力がお見事」とS…

  • 4

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 5

    キャサリン妃とメーガン妃の「本当の仲」はどうだっ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:老人極貧社会 韓国

特集:老人極貧社会 韓国

2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる