最新記事

カルチャー

社会は女性を信じるか──34年前と変わらない、21世紀の現実

Gilead Revisited

2019年10月08日(火)20時00分
トゥファエル・アフメド

ドラマ版『侍女の物語』の一場面 COURTESY OF MGM

<M・アトウッドの『侍女の物語』の続編を「深読み」すると21世紀の現実とリンクした痛烈な皮肉が浮かび上がる>

ギレアデ共和国への扉が再び開かれる──高く評価されたディストピア小説『侍女の物語』の刊行から34年、マーガレット・アトウッドが続編『ザ・テスタメンツ』を発表した。

9月10日に各国で発売された本書は前作と同じく、全体主義的権力、性と生殖に関する女性の権利や国家のアイデンティティーをめぐって、30年後も続く論議を引き起こすに違いない。

舞台は『侍女の物語』で描かれた出来事から15年後のギレアデ。物語は3人の女性の視点から紡がれていく。

そのうち1人は、前作(とそれを原作とするHuluのドラマ)のファンにはおなじみのリディアおばだ。「侍女」たちの監視役である打算的な彼女を通じて、読者は宗教的独裁国家ギレアデの中枢にうごめく陰謀をより詳しく知ることになる。残る2人は、ギレアデの体制内で育った若い女性アグネスと、国境を隔てたカナダに住むもう1人の若い女性デイジーだ。

Huluによるドラマ化(2017年に配信開始)や16年米大統領選でのドナルド・トランプの勝利という背景もあって、『侍女の物語』のテーマは現代の読者の心にも深く響く。性と生殖に関する権利や女性器切除、儀式的レイプなど多岐に渡る描写はどれも、作者によれば「いつか、どこかで既に起きたこと」だ。

性暴力と女性たちの証言

atwood02.jpg

前作のテーマが時代遅れになる未来を望んでいたという著者のアトウッド IAN WESTーPA/AFLO

アトウッドは作品の解釈を読者に任せることを好み、物語や登場人物をめぐる説について、どれが正しいと語ることはない。だが現実世界の出来事に触発されているならば、『ザ・テスタメンツ』の執筆の際にも何かが念頭にあったはず。それは何か、あえて分析してみよう(以下、ネタバレを含む可能性あり)。

【参考記事】中年期の経済的失望に更年期...その先の女の人生って? 新著発表の『SATC』原作者インタビュー

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRBは利下げ余地ある、中立金利から0.5─1.0

ビジネス

米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否 ネトフリ合

ビジネス

企業は来年の物価上昇予測、関税なお最大の懸念=米地

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    世界一スキャンダラスな絵画、謎に包まれた「女性器…

  • 4

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 5

    女を潰すのは女──海外版お局様「女王蜂」と呼ばれる…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    女子サッカーで世界初、生理周期に合わせてトレーニ…

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:教養としてのBL入門

特集:教養としてのBL入門

2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく