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「幸せな結婚生活」の科学 研究者夫妻が導き出したシンプルな心的因子とは?

2019年05月20日(月)15時35分
今井順梨

隆司さんが研究から導き出した4つの心的因子とは

「やってみよう!」(自己実現と成長の因子)
「ありがとう!」(つながりと感謝の因子)
「なんとかなる!」(前向きと楽観の因子)
「ありのままに!」(独立と自分らしさの因子)

という、わずか数文字のシンプルなものだ。この4つを日常の中で活用していくことで、幸せはぐんと身近になると隆司さんは言う。


隆司さん:お金やステイタス(編集部注:「地位財」と呼ばれる、周囲との比較で満足を得られる財を指す)で得られる幸せは相対的です。あの人よりはお金がある、あの人よりはない、というふうに比較する相手によって評価が変わるもので、常に誰かと比べてしまいがちです。だから短期的な幸福しか得られない。けれど愛情や自由(=非地位財)といった、「自分」の心的要因(心もち)次第で得られる幸せは絶対的であり、長続きします。

幸福学の理想は「各個人が『自分』の力で、ずっと長く続く幸せを見つける」手助けをすることです。だからまずは1人1人が、心の中で幸せを生み出せるようになることが大事なのです。そのために不可欠なのが、幸せを感じやすくなるための4因子です。

避けるべきタイプの人など、本来はいない

確かに、些細なことでも「やってみよう!」という気持ちになればワクワクが生まれる。他者を前向きに受け入れられれば「ありがとう!」と言えるようになる。どんな逆境が訪れても「なんとかなる!」と楽観できれば肝が据わってくよくよせずに済むし、自分らしく「ありのままで!」いられれば、他者と比較して落ち込まない。

これらの4因子を意識することで幸せになることは、自分1人でも実践できる。では、どうしてパートナーがいるといいのだろうか?


隆司さん:確かに1人でも幸せは得られます。でもパートナーと得る幸せは人の可能性をさらに大きく伸ばす、豊かなものです。パートナーと共に幸せになるには、相手が幸せであることが前提です。そのためには成長し続けることがキーになります。2人の目標を達成する。あるいは、2人の間に起きた課題をクリアする。目標や課題は自分1人の想像では完結できないかたちで、どんどんアップデートされていきます。

限りない成長とつながりの連鎖です。人は成長することに喜びを感じます。相手と分かり合うことにも幸せを感じます。長期的で安定したパートナーシップは、1人の時とは違う豊かな幸せを経験できるチャンスなのです。

つまり、1人でも幸せになれるけれど、誰かとニコイチになればまた別の幸せを見つけることができるということだ。ただ、パートナー選びには条件が付きものだと思ってしまいがち。「どんな人は避けるべきですか?」という問いを投げ掛けると、避けるべき人などいないと隆司さんは断言した。

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