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学ぶ力を伸ばすには? 赤ちゃんの脳は豊かな愛情があってこそ「学習脳」に発達する

Plant the Seed, Water the Soil

2019年04月12日(金)12時00分
デボラ・ホジソン

性格が影響するように

11〜12カ月の子には社会的・認知的な変化が起きる。何かを指差して、周囲の大人にそれを見てもらう「共同注意」という伝達行動も見られるようになる。伝達行動は言語学習の第一歩だから、一緒に絵本を眺めたりして、その行動をサポートするといいだろう。

「赤ちゃんが何かを指差したり、バイバイと手を振るのは、新しい成長の段階に達した証拠だ」と、ウッドワードは語る。「それまで積み重なってきた周囲への関心と、四肢の筋肉の制御能力、表情、それに相手の意図への理解が組み合わさって、かわいらしい社会行動につながる」

1歳になると伝い歩きが上手になる。ただしそのタイミングが1歳2カ月で訪れる子もいれば、もっと遅い子もいるから焦ることはない。親は安心して子供の成長を見守ろう。

中には、歩き回ることに関心を示さない子もいる。それよりも座ったまま、あれこれつまんでみたり、ふたを開けたりすることに関心を示す子もいる。行動に性格が表れ始めるのだ。そして何より親を興奮させる瞬間はやはり、子供が自力で歩いたときだろう。

ひとたび身の回りの世界を探求する身体的能力を手に入れたら、子供の好奇心を抑え付けておくものはない。「子供が歩き始めたら、行動範囲を小さな部屋にとどめないほうがいい」と、ボーマンは語る。「二足歩行は人間の最も重要な運動能力だ」

さらにボーマンは、親が歩く手本を示すことを勧める。「子供はそのまねをするだろう。ただし、親と同じペースで歩いたり、親と同じ方向に歩くと思わないほうがいい。子供は探検しながら歩くのが好きだから」

そのとおり。生涯にわたる親子の関係にも、この言葉が当てはまるのかもしれない。

<発達の目安>


自分のペースでゆっくり成長 
身体能力は頭から首、手足と上から下へ発達する。個人差は大きいが、月齢に沿った発達の目安は......。

生後0〜1カ月 原始反射
突然驚いたように腕を突き出すなど、原始反射が見られる。手を目や口の近くにもっていく。うつぶせで頭を左右に動かす

生後2〜3カ月 動き始める
うつぶせで上体を腕で支える。脚を突っ張って蹴る。手を握ったり広げたり、ぶら下がっている物をつかもうとする

生後4〜7カ月 お座り
寝返りが打てる。お座りができるようになる。脚で全体重を支えることができる。片手だけを伸ばして物をつかもうとする

生後8〜12カ月 ハイハイ
自力でお座りの姿勢になれる。腹ばいで前進やハイハイをする。つかまり立ちや伝い歩きをし、一瞬立つこともできる

1〜2歳 上手に歩く
独り歩きをする。おもちゃを抱えて歩く。爪先で立つ。走ったり、ボールを蹴ったりする。支えがあれば階段を上り下りできる

2〜3歳 活動的になる
高い場所に上手によじ登る。足を交互に動かし、階段を上り下りする。三輪車をこいだり、走るのがうまくなる

<ニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE「0歳からの教育 学習編」掲載>

※詳しくはニューズウィーク日本版SPECIAL ISSUE 「0歳からの教育 学習編」をご覧ください。

【参考記事】「胸は垂れるときは垂れる」 母乳神話にまつわる5つの誤解を検証すると...

【シリーズ既刊】
「0歳からの教育 発達編」
「0歳からの教育 知育編」
「0歳からの教育 育児編」

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