最新記事

セクハラ

権力者のセクハラ発言にどう応じる? グラミー賞ノミネートのティファニー・ハディッシュからの助言

2019年01月22日(火)18時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

このケースで、ティファニーはあきれて相手を冷たくあしらう。そして、いつかスターになることで相手を見返そうと決意する。しかし別のケースでは自分よりも目上のコメディアンに真っ向から食ってかかり、そのせいで何年も仕事を干されるといった辛酸もなめている。そんな逆境にあっても、いつか自分の時代が来ると信じて彼女はひたすら芸に邁進した。


男と寝ることでコメディーの技が磨かれると思う? 自分の足で立って、自分で芸を磨かなきゃ。おもしろいって、見せかけだけじゃ得られないスキルなんだから。

こうしてティファニーはコメディエンヌとしてトップ女優の地位に登りつめ、権力を盾にして彼女を利用しようとした男たちを見返すことができたと自伝のなかで語っている。

「絶対に、女を使っちゃダメ」

とはいえ、力をつけたことでセクハラ男たちは黙ったのかというと、そうでもないようだ。こんどは不特定多数の一般男性からのハラスメントが絶えないのだという。E!ニュースのインタビューによると、ティファニーが久しぶりにSNSのダイレクトメールをチェックしたところ、驚くほど多数の男性器の写真が送りつけられてきていたという。ティファニーはそのときの困惑を告白したうえで、ハラスメントを仕掛ける見知らぬ男性を笑いで鮮やかに刺してみせる。

「写真集をつくればいいよね! 写真を送ってきたヤツらもそれでちょっとは慎むでしょ。てか、アレの写真送ってくるの、やめてほしいんだけど」

なんなら、一枚一枚に独自のコメントも付けるつもりだとか。しかし、かつてティファニー自身もうまく対応できなかったことがあるように、こうしたハラスメントに対して誰もが冷静かつ器用に立ち回り、切り抜けることができるわけではない。女性が深い傷を負うケースだって多々ある。だから自伝『The Last Black Unicorn』のなかで、まだ若く弱い立場にある女性たちに対して、ティファニーは強く助言している。


男たちは彼女らの足もとを見て、ほんの少しの権力を振りかざし、支配しようとする。そんなことばかりだ。わたしはいつも若手の女性コメディアンたちに、こう忠告する。「絶対に、女を使っちゃダメ。お股を閉じていれば、もっと多くのチャンスが巡ってくるから、信じて。枕営業なんてしなくても出演時間は増えていくし、仕事も増える。お股なんて開いちゃダメだから」

昨今、女性であるというだけでひどい目に遭うという不条理な事件に憤りを覚えている人も多いことだろう。そんななかで、ティファニーのメッセージは参考になるし、彼女自身のパフォーマンスによる『The Last Black Unicorn』の朗読版がグラミーにノミネートされたことは小さな希望といえるかもしれない。本書はティファニー・ハディッシュという不当に虐げられる経験をしてきた一女性の自伝というかたちをした、唾棄すべきハラスメントに対するすべての女性たちからのアンチテーゼだからだ。

注目のグラミー賞発表はいよいよ2月10日(日本時間11日)に迫っている。


『すべての涙を笑いに変える黒いユニコーン伝説 
世界をごきげんにする女のメモワール』
ティファニー・ハディッシュ 著 大島さや 訳
CCCメディアハウス

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米1月輸入物価、0.2%上昇 エネルギー安を資本財

ワールド

アゼルバイジャンにイラン無人機侵入、大統領が報復指

ワールド

イスラエル、イラン作戦第2段階 地下ミサイル基地を

ビジネス

米労働生産性、第4四半期は2.8%上昇 伸び鈍化も
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 3

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 4

    子育てが難しいと感じる親──原因の一つは「甘え」と…

  • 5

    選手村のコンドーム配布 ユース五輪で配ると「本当…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    シャーロット王女が放つ「ただならぬオーラ」にルイ…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    選手村のコンドーム配布 ユース五輪で配ると「本当…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    選手村のコンドーム配布 ユース五輪で配ると「本当…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    完全コピーされた、キャサリン妃の「かなり挑発的な…

  • 5

    キャサリン妃とウィリアム皇太子の「ご友人」...ロー…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:トランプのイラン攻撃

特集:トランプのイラン攻撃

2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?