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「子供に何も買ってやれない」社会の底辺で生きる人々の叫び──反マクロン・デモ、怒りの真相

2018年12月04日(火)18時10分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

3週目に突入した今回の大規模デモでは、一部暴徒化したデモ参加者などにより、数々のパリの観光名所が衝突の舞台となった。11月24日に大規模な抗議活動があったシャンゼリゼ通りでは、治安当局が通行規制をした。一方で、暴徒化したデモ参加者が、第一次世界大戦の無名兵士が眠る凱旋門に落書きをし、館内に侵入、マリアンヌ像を破壊するなどした。

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凱旋門付近の破壊されたバス停(Photo: Jérémie Hallez)

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凱旋門付近で放火された車(Photo: Jérémie Hallez)

現地紙ル・モンドによると、高級ブティックが軒を連ねるフォーブル・サントノレ通りの警察所は破壊され、パリのある場所では警察車両からH&K G36(ライフル銃)が盗まれたという。高級5ツ星ホテル「ペニンシュラ」があるクレベール通りでは暴徒化した参加者が車に放火、「この悪党め」と叫びながら銀行を破壊した。その他パリ各地で、スーパーマーケットから酒類などの略奪、車両や建物などの放火や、レストランの破壊なども見られた。

クリスマスシーズンで賑わう「シャネル」、「ディオール」などの高級ブランドショップのガラスも破壊されたという。老舗百貨店「プランタン」や「ギャラリー・ラファイエット」の客は一時避難した。

記者がパリ・オペラ座からデモ隊を追った際は、「マクロン退陣」、「みんな一緒に」と叫びながら行進をするのみで穏健な印象だった。

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