最新記事

アート

日本に埋もれていた衝撃の傑作「アール・ブリュット」が海外で高評価されているワケ

2018年12月05日(水)18時10分
岩澤里美(スイス在住ジャーナリスト)

本場では、どう楽しんでいるか

スイスと日本のアール・ブリュットのつながりを見てきたが、この芸術をどう鑑賞したらいいのだろうか。ペリーさんの話では、芸術は1つではなく、アール・ブリュットの作品にふれて芸術へのドアがたくさん存在しているということを知ればよいのだという。

ローザンヌの「アール・ブリュット・コレクション」には、老若男女、職業も様々な人たちが集う。普段は美術館には足を運ばない幼児たちさえやってくる。おもしろい、奇麗、ちょっと気持ち悪い、怖い、すごい、これなら自分にも作れるかもなど、どんな感情でもじっくりと味わってみよう。アーティストたちは、強い感情を込め自分のためにひたすら作り続けている。その感情と見る人の感情が溶け合えば、そこには、もう新しいドアが開かれているに違いない。

(*)アール・ブリュット・コレクション『日本のアール・ブリュット もう一つの眼差し』メディア向け資料から引用

s-iwasawa01.jpg[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」理事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハマス、人質のイスラエル軍兵士の遺体を返還へ ガザ

ワールド

中国外相、EUは「ライバルでなくパートナー」 自由

ワールド

プーチン氏、G20サミット代表団長にオレシキン副補

ワールド

中ロ、一方的制裁への共同対応表明 習主席がロ首相と
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 3

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 4

    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    【独占】「難しいけれど、スローダウンする」...カナ…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 4

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 5

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:高市早苗研究

特集:高市早苗研究

2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える