ウソや脅迫のオンパレード

そのフランシスは、州知事だったギャレット・ウォーカー大統領の当選に尽力し、新政権では国務長官に指名される約束だった。その約束を反故にされたことからフランシスの復讐劇が始まるわけだが、それ以降の暴れっぷりはトリックスターそのもの。

自分の代わりに選ばれた国務長官候補を失脚させることなど序の口で、腹心にして側近のダグ・スタンパーや手駒の若手議員ピーター・ルッソ、リークを提供する新聞記者ゾーイ・バーンズだけでなく、時には妻のクレア・アンダーウッド(ロビン・ライト)までも総動員してウソや脅迫、罠を次々に繰り出す。

民主党の有能な幹部として、教育法案をはじめとする難題をこなすフランシス。その裏では、ウォーカー大統領や女性首席補佐官のリンダ・バスケスが中心となって構築する「秩序」を攪乱し、揺さぶりをかけているのもフランシスだ。典型的なエリートタイプのウォーカーやリンダが、フランシスの計略にはまり孤立させられ疑心暗鬼に陥る様子は、見ていて時折気の毒になるほどだ。

この世で一番恐ろしいのは「人間」か

たびたび大統領から裏切りの疑いをかけられながら、フランシスは本音を決して明かさない。政権や議会の中枢を相手に回し、相反する立場の危うい均衡を保ち続ける様子はスリルに満ちる。

「名人は危うきに遊ぶ」という言葉があるが、表と裏を行き来する彼の「遊泳術」が、シーズン1から2にかけての見所の一つだろう。

そもそも、ドラマの中でフランシスの本音が明確に示されることは少ない。ドラマのはじめで「復讐」を誓ってからも、実は誰に対して・どのように実行していくかは明かされないまま物語は進む。

ドラマを見る側は、回が進むうちに「タネ明かし」に納得したり驚いたりすると同時に、新たに提示される謎にも直面し、引き込まれていく。ドラマでは、フランシスが読者に語りかけるシーンが所々挟み込まれるが、それすらも本心なのか――「名人」の心中は計り知れない。

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("House of Cards"公式アカウントより)