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腸の健康を守りたいなら、センサーを飲もう!?

Swallow This!

2018年08月22日(水)12時45分
カシュミラ・ガンダー

バイオとエレクトロニクス を組み合わせることで、過酷な腸内環境で異変を感 知してスマホに信号を送ることが可能になる SolStock-iStock

<バイオの力で腸内の異変を発見してリアルタイムでスマホに送信する小型ですごい新型センサーを開発中>

のみ込める小型センサーが腸の病気の診断と治療を変えるかもしれない。

大腸炎や過敏性腸症候群といった腸の病気は、発症部位を特定しにくいせいもあって診断が難しいケースもある。だがマサチューセッツ工科大学(MIT)で開発中の新しいセンサーを使えば、発見も治療も簡単になる可能性があるという。

5月24日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表された論文によれば、MITの研究チームはカプセル状の装置を試作し、出血を感知すると光るようにした細菌を詰めた。それをブタの胃に送り込み、出血に関連している分子の検出に成功した。カプセルは半透膜に包まれ、病気の指標となるバイオマーカーを感知すると光ってスマートフォンに信号を送る。

「過敏性腸症候群のような病気の影響を受けた分子を突き止める専用のバイオセンサーを開発するにはさらなる研究が必要だが、この装置が診断に役立つ可能性はある」と、共同執筆者の1人、マーク・ミミーは言う。

「体への負担が少ないこうした装置で慢性病の進行を定期的に監視し、症状管理に必要な情報を提供できるようになるかもしれない」。内視鏡検査では原因を正確に突き止めるのが難しい貧血や出血のある患者にも使える可能性がある。

ミミーによれば、電子装置に細菌のように生きた細胞を組み込むことができれば、消化官のような過酷な生物学的環境から情報を送信するセンサーが開発できるという。「生きた細胞は消化官のような過酷な生物環境で素晴らしいセンサーになり得るが、感知結果を体内から体外など長い距離を伝達することはできない。一方、純粋な電子端末は特定の分子を検知する能力は劣るが、情報処理と長距離の伝達通信が可能だ」

20180815bio02.jpgLILLIE PAQUETTE/MIT

新型センサーは腸内環境を評価する方法として「大いに期待できる」と、英ロンドン大学ユニバーシティーカレッジのアントン・エマニュエル上級講師(神経消化器病学)は言う。ただし人間の腸内細菌はブタなど他の哺乳類とはかなり違うため、この技術が人間にも使えると証明するにはさらに研究が必要だという。

ミミーの予測では、臨床試験を開始できるのは数年先。研究チームはそれまでにさらに装置を小型化してチップ1つで動くようにし、患者の腸内環境のさまざまな変化を感知できるセンサーを搭載したい構えだ。

小さいけれど大きな可能性を秘めた「新兵器」になるかも。

[2018年6月19日号掲載]

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