最新記事
生成AI

ドキュメンタリーにディープフェイクは許されるか? ネットフリックス新作が問う生成AIの倫理

Netflix Using AI Deepfakes

2026年2月26日(木)15時44分
H・アラン・スコット (ライター、コメディアン)
ドキュメンタリーにディープフェイクは許されるか? ネットフリックス新作が問う生成AIの倫理

新生児病棟での連続殺害でイギリスを震撼させた看護師レトビー(左上)の事件を追ったネットフリックスの番組(写真はAI生成ではない場面) COURTESY OF NETFLIX

<ネットフリックスの新作ドキュメンタリーが波紋を広げている。証言者の匿名性確保のためAI生成の「顔」を使用したのだ。その選択は、悲劇の痛みとドキュメンタリーの倫理を揺るがしている>

ドキュメンタリー作品のうち犯罪実録ものの世界では、視聴者との間に暗黙の了解がある。真実を伝えるために最低限の加工は許されるという了解だ。ぼかしを入れる、声を変える、再現ドラマを挿入する、などで、いずれも犯罪の目撃者や関係者のプライバシー保護を目的としている。

だがネットフリックスで配信中の新作映画『犯罪捜査ファイル ルーシー・レトビーの新生児殺害事件』はこの約束を破ってしまった。そのドキュメンタリー映像で悲しみに暮れる母親の顔を見たとき、私は啞然とした。そして自問した。「この人、本物?」


答えは「ノー」だ。よく見ると、犠牲者の母セーラと犯人の親友メイジの名の脇には小さく「デジタルで匿名化した」と注記されている。当然のことながら、この2人は顔を出したくなかった。だから代わりに、最新のAI(人工知能)で生成した「人間」を登場させたわけだ。

事情は理解できるが、結果は見るに堪えない。AI版セーラは回想シーンで顔をうずめて泣き崩れるのだが、残念、涙が出ていない。

日本企業
スパイス企業の新戦略...エスビー食品が挑む「食のアップサイクル」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米軍がホルムズ海峡封鎖へ、イランは交渉に戻る見通し

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 3
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 6
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 10
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中