最新記事
科学

恐竜が「がん治療」のカギを握っている...「赤血球に似た構造」に医師が着目する理由とは?【最新研究】

How Dinosaurs Could Help Us Fight Cancer

2025年6月9日(月)14時50分
リディア・パトリック
恐竜の骨

nnguyen21-pixabay

<恐竜もまた「がん」に苦しんでいた...化石に残る痕跡が、がん治療の未来を照らす可能性について>

恐竜はただの「魅力的な過去の遺物」ではなく、がんの新たな治療法の手がかりを与えてくれるかもしれない。

最新研究によると、恐竜の化石には、保存されたタンパク質など未だ生物学的な痕跡が残されており、古代生物ががんのような疾患とどのように向き合っていたかを読み解くヒントがあるとイギリスのアングリア・ラスキン大学とインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)の研究チームが発表した。


 

学術誌「Biology」に掲載されたこの研究成果は、がん治療の未来に向けた重要な一歩になる可能性があるとして、筆頭著者でがん専門医である、アングリア・ラスキン大学のジャスティン・ステビング(Justin Stebbing)教授は次のように述べる。

「恐竜は長寿の巨大生物であり、何百万年にもわたって、がんへの感受性と抵抗性をどう維持してきたかを探るうえで、極めて有力な研究対象です」

古代の軟組織に迫る

研究チームは、約7000万年前に現在のルーマニアに生息していた植物食恐竜「テルマトサウルス・トランスシルヴァニカス(Telmatosaurus transsylvanicus)」の化石を詳細に調査した。

高倍率の顕微鏡を使用した結果、化石中に赤血球に似た構造が発見されたという。これらは生体の情報を得るに十分な状態で保存されており、恐竜の生物学的特徴を読み取る手がかりになる。

この発見によって古代のがんなどの疾患を分子レベルで研究する新たな道が開かれるとともに、骨格だけでなく軟組織の保存の重要性が増すことを意味するという。

投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、アフリカへの関与拡大 安全保障含め協力強化

ワールド

「強いストレスが引き金」、トランプ氏との確執巡りマ

ビジネス

マレーシア、7月から消費税改正 サービス税拡大

ビジネス

中国発ECシーイン、インドで生産強化 1年以内の海
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 2
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、健康に問題ないのか?
  • 3
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全な場所」に涙
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フロー…
  • 6
    コメ価格高騰で放映される連続ドラマ『進次郎の備蓄…
  • 7
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 6
    ウクライナが「真珠湾攻撃」決行!ロシア国内に運び…
  • 7
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 8
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 9
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 10
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中