最新記事
ペット

犬種による能力の違いは幻想? 最新研究が明かす「見た目と実力の関係」

Dog Breeds Not So Different

2025年3月6日(木)13時00分
トム・ハワース(自然・科学担当)
姿形も得手不得手も大きく異なる犬たちだが、差異は意外に小さい MEAGHANBROWNING/GETTY IMAGES

姿形も得手不得手も大きく異なる犬たちだが、差異は意外に小さい MEAGHANBROWNING/GETTY IMAGES

<かむ力が強い犬やにおいを嗅ぐのが得意な犬、品種改良が生んだ能力の違いはどこから来るのか>

昔から人類は、牧畜犬だとか番犬、狩猟犬といった、特定の作業に向いた能力を持つ犬種をつくり出してきた。

犬種ごとに得意分野が異なるのは、それぞれの体のつくりが異なるからだと多くの人が思っていることだろう。だがそんな常識に疑問符を突き付ける新しい研究が登場した。

この研究は科学誌サイエンス・アドバンシズに発表されたもので、飼い犬40種と犬に近い野生の動物18種の頭蓋骨(計117個)を3次元再構成という手法で分析した。

その結果、犬の頭蓋骨は犬種が違っても驚くほど似通っていることが判明した。少なくとも、かむとかにおいを嗅ぐといった能力が特に高くなるような体のつくりの違いは存在しない可能性がある。

「外見が大きく異なり、牧畜や家の見張りやにおいの探知といったそれぞれ異なる作業を得意とする数百種の犬種を、人類はつくり出してきた」と、論文の共同代表者である米チャップマン大学のリンジー・ウォルドロップ助教は指摘している。

「犬種ごとに外見が異なるのは、それぞれの体が特定の作業に向いた構造になっているからだと考えられてきた。だが私たちの研究からは、少なくとも頭蓋骨に関しては、かむとか嗅ぐといった行為に特に向いた構造は存在しないことが明らかになった」

編集部よりお知らせ
ニューズウィーク日本版「SDGsアワード2025」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人

ワールド

プーチン氏、対ウクライナ姿勢変えず 米制裁期限近づ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    ニューヨークで「レジオネラ症」の感染が拡大...症状…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中