未来のヒトはどんな顔に? 5万年後の姿を科学的に予測
LOOK OF THE FUTURE
「もちろん、真に劇的な変化にはもっと長い時間がかかる。この先の何百万年かで人間に翼が生えることはないし、えらができることもあるまい。そもそも解剖学的に見れば、私たちは5万年前から大して変わっていないのだから」
一方、英アングリア・ラスキン大学の人類学者で進化遺伝学者のジェイソン・ホジソンに言わせると、5万年というのは人類にとって「途方もなく長い時間」だ。
人間の1世代を約30年とすれば、5万年の間には(遺伝による)進化のチャンスが1667回もある。ちなみに「肌の色や身長、髪の色といった外見上の変化の大半は過去1万年の間に起きている」そうだ。
「混合」で均質化が進む
ホジソンによれば、少なくとも見た目の違いという点に関して言えば、もっと近い将来に私たちは今よりも均質化し、今ほど明確な区別がなくなる可能性がある。
「現時点では、人間にも地理的な要因によって見た目の違いが認められる。アフリカの人は肌が黒く、北欧の人は肌が白い。アフリカの狩猟採集民族ピグミーは背が低く、オランダの人は背が高いといった具合だ。これは同類交配の結果と言える」
実際、人は昔から自分と同じような人たちと一緒に暮らし、同じような人を繁殖のパートナーに選んできた。
しかし近代以降は「地理的に遠く離れた集団間での交配、つまり混合が増えており、結果として今の人類は今まで以上に均質化が進んでいる」とホジソンは言う。
「例えばプードルとロットワイラー、チワワとセントバーナードを一つの島に放って無作為に交配させれば、わずか数世代で全ての犬が茶色の中型犬になり得る。それと同じだ」