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「ハンガーを1本たりともごみにしない」...日本コパックが30年かけて築いた循環型システム

2025年1月8日(水)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

ハンガーの再資源化のフロー

ハンガーの再資源化のフロー

「水平リサイクル」と呼ばれるこのリサイクル法は、コストや労力がかかるため、特に単価の低い消耗品では実現が難しいとされてきた。しかし、両社は、品質を維持しながら、低コストで持続可能なリサイクルシステムを確立した。

しまむらの全国2000以上の店舗では、使用済みのハンガーやビニールをプラスチックの素材別に分別することを徹底。同社の国内5カ所にある物流センターに大型の圧縮機が設置され、回収したハンガーやビニール袋を圧縮することで日本コパックの再資源化工場への輸送効率が高まり、物流コストを抑えている。

ただし、「水平リサイクル」は、プラスチックをただ再利用すれば確立できるわけではない。ポリプロピレンやポリカーボネート、ポリアセタールといった、成形条件や特性の異なるプラスチック素材の仕分けや、精度向上のため素材の統一化が必要になる。そのため、しまむらとともに製品の形状を見直し、異素材をできるだけ排除する取り組みや強度を高めた新素材の開発などで、リサイクル率の向上に努めている。

日本コパック第1事業部の菅淳一氏は、「仕組みがあっても、実際に弊社で生産したハンガーやビニール製品がブーメランのように戻ってこなければ成功したとは言えません」と語り、このリサイクルの実現にはしまむらの店舗や成型メーカー、リサイクル工場、物流に関わるすべて人の協力が不可欠であることを強調する。

日本コパックは、リユースとリサイクルの独自スキームを30年以上かけて構築した。その原点となった、「ハンガーを1本たりともごみにしない」という元社長の強い思いは、社内全体の環境問題に対する意識の礎となっており、新事業の原動力にもなっている。同社の環境活動は、企業単独の取り組みにとどまらず、アパレル業界全体を巻き込みながら、持続可能な社会をつくる大きな循環を生み出している。

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