注目のキーワード
トランプ
投資
文字サイズ

最新記事

テクノロジー

3D騒ぎが映画をダメにする9つの理由

Why I Hate 3-D (and You Should Too)

印刷

 消費者向け情報誌コンシューマー・リポーツによれば、3D映画を見た人の約15%が頭痛や目の疲れを訴えるという。

5)画面がやや暗い 3D映像システムの父として知られるレニー・リプトンは、現在のデジタルプロジェクターは「(光学的に見て)効率が悪い」と断言している。「光の半分は右目、半分が左目に入るから、単純に明るさが50%減るということだ」。さらに3D用の眼鏡も光を吸収する。

 現在、大半の映画館が3D作品を3〜6フットランバート(fL)の輝度で上映している。fLとは、簡単に言えばフィルムを入れていない映写機がスクリーンに投じる光量のこと。アナログ映写機では大体15fLで、オリジナルのアイマックス(大型映像システム)では22fLだった。

6)デジタルプロジェクターを売りたい商魂が透けて見える 3D上映用機材の導入は巨額のコストが掛かるため、当初は映画館が難色を示し、コストの一部を映画会社が負担すべきだと主張していた。これに対して一部の映画会社は、3Dで上映しないなら2Dでの上映も認めないと主張して映画館に圧力をかけた。

 ほとんどの映画館の映写室には、アナログとデジタルの映写機を置くスペースがあるのに、アナログ時代は終わったとばかり、デジタルへの切り替えを迫るセールス攻勢がかけられている。

7)観客は特別料金をふんだくられる 3Dの上乗せ料金はこのまま定着するのか、プロジェクターの元が取れたら無くなるのか。

 特別料金は、親たちの頭痛の種だ。子供は宣伝にだまされて「3Dじゃなきゃ嫌だ」と言い張る。私は『タイタンの戦い』の映画評でこう書いた。「この映画は3D映像として製作されたものではない。5ドルの特別料金を取るために3Dで上映されるだけだ。2Dで見ても十分楽しめると、子供に教えてあげたほうがいい」

 『タイタンの戦い』は『アバター』に続く2匹目のどじょうを狙って、慌てて3D効果が付け加えられた映画だ。3Dアニメに社運を懸けるドリームワークスのジェフリー・カッツェンバーグでさえ、『タイタンの戦い』の3Dは「観客をだますものだ」と酷評した。ちゃちな疑似3Dは金の卵を生むはずのガチョウを殺してしまいかねないと、カッツェンバーグはバラエティー誌のインタビューで語っている。

8)シリアスなドラマに3Dは必要ない かつてアルフレッド・ヒッチコックは3Dで撮影した『ダイヤルMを廻せ!』の出来に不満で、ニューヨークでの封切りでは2D版を上映した。3Dはもっぱらコンピューターで製作する作品に向いているらしい。子供向けの映画やアニメ、そして『アバター』のような作品だ。

 もちろん、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』は別格だ。素晴らしい映画で、オリジナルのアイマックス・システムのスクリーンなら臨場感抜群。それに史上最高の興行収入を挙げている。

 この映画は3Dの広告塔として利用されているが、(特別料金のない)2Dでも成功したのではないだろうか。全米興行収入の史上第2位は同じキャメロンの『タイタニック』で、こちらはもちろん2Dだった。

 それでも『アバター』は3Dをとても効果的に使っている。最初から3D用に計画を立て、2億5000万ドルを投じて完成させたキャメロンは撮影と編集の達人だ。だが、ほかの監督は特別料金を上乗せしたい映画会社のお偉方に3Dを強制されている。

今、あなたにオススメ

最新ニュース

ワールド

ペルー大統領、フジモリ氏に恩赦 健康悪化理由に

2017.12.25

ビジネス

前場の日経平均は小反落、クリスマス休暇で動意薄

2017.12.25

ビジネス

正午のドルは113円前半、参加者少なく動意に乏しい

2017.12.25

ビジネス

中国、来年のM2伸び率目標を過去最低水準に設定へ=現地紙

2017.12.25

新着

ここまで来た AI医療

癌の早期発見で、医療AIが専門医に勝てる理由

2018.11.14
中東

それでも「アラブの春」は終わっていない

2018.11.14
日中関係

安倍首相、日中「三原則」発言のくい違いと中国側が公表した発言記録

2018.11.14
ページトップへ

本誌紹介 最新号

2025.5. 6号(4/30発売)

特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門

2025.5. 6号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

Introduction AI時代に国際ニュースを英語で読む
【AMERICAS】
アメリカ 絶好調のトランプとアメリカ国民の蜜月が続くヤバさ
中南米 米中ロが攻防を繰り広げる世界の大国の「チェス盤」
【EUROPE】
ロシア 100年の恨み噴き出す戦争に終わりは見えず
ウクライナ 反骨の男ゼレンスキーをトランプ禍が悩ます
イギリス 欧州のリーダーとしていま浮上する不思議
ドイツ 財政均衡の呪縛を脱し政治経済立て直しへ
ヨーロッパ 不安の時代に流動化する欧州大陸
【ASIA】
中国 老いゆく経済大国にくすぶる火種
日本 トランプ時代に試される石破の「脱安倍」外交
韓国 ダイナミックで不安定 現状変更が好きな国
北朝鮮 貧困と孤立から脱皮へ 知られざる大変化
インド 世界一の人口大国に経済覇権の夢あり
【MIDDLE EAST & AFRICA】
イスラエル/パレスチナ 終わりなき混沌の歴史をひもとく
サウジアラビア 米中ロとわたり合う全方位外交の狙い
イラン 国内締め付けと核開発 ハメネイに迫る決断の時
中東・アフリカ 今も終わらないイスラム国の脅威
デジタル雑誌を購入
最新号の目次を見る
本誌紹介一覧へ

Recommended

MAGAZINE

特集:静かな戦争

2017-12・26号(12/19発売)

電磁パルス攻撃、音響兵器、細菌感染モスキート......。日常生活に入り込み壊滅的ダメージを与える見えない新兵器

  • 最新号の目次
  • 予約購読お申し込み
  • デジタル版

ニューストピックス

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム&ブログ
  • 最新ニュース