ニュース速報

ワールド

ペルー大統領、フジモリ氏に恩赦 健康悪化理由に

2017年12月25日(月)17時27分

 12月24日、ペルーのクチンスキ大統領は、人権侵害事件や汚職などで禁錮25年の刑に服しているフジモリ元大統領に恩赦を与えることを決めた。これを受け、恩赦決定が政治的取引の一環だと非難する反フジモリ派が抗議活動を行った。写真は2007年12月、リマで裁判に臨む同元大統領(2017年 ロイター/Mariana Bazo)

[リマ 24日 ロイター] - ペルーのクチンスキ大統領は、人権侵害事件や汚職などで禁錮25年の刑に服しているフジモリ元大統領に恩赦を与えることを決めた。これを受け、恩赦決定が政治的取引の一環だと非難する反フジモリ派が抗議活動を行った。

恩赦に抗議した少なくとも2人の閣僚が辞任の意向を示し、政府筋によると、クチンスキ氏は週内にも内閣改造を行う可能性がある。

クチンスキ氏率いる与党の議員2人は離党した。

フジモリ氏(79)は急な血圧低下と心拍数の異常のため、病院に運ばれた。大統領府は声明で、同氏が進行性で不治の病を患っていると説明した。

フジモリ氏は1990年から2000年まで大統領を務めた。経済の立て直しや治安対策の実績を評価する声がある一方、腐敗した独裁者とみなして批判する向きも多く、世論を二分している。

議会ではクチンスキ大統領の罷免決議が否決されたばかり。大統領がフジモリ氏の釈放を約束する代わりにフジモリ派の議員から罷免決議否決への協力を取り付けたという観測が広がる公算が大きい。

クチンスキ氏は昨年の大統領選の活動中、フジモリ氏を恩赦しない方針を示していた。大統領選に出馬していた左派勢力の指導者メンドサ氏は、クチンスキ氏が「保身のため、フジモリ氏の支持者と取引をして腐敗した殺人者に恩赦を与えた」と非難した。

政府側は、恩赦が政治的交渉の一環だとの指摘を否定している。

首都リマでは、抗議活動を行う反フジモリ派に警察が催涙ガスを使用した。またクチンスキ氏の自宅周辺では当局者が警備を行った。

クチンスキ氏はベネズエラのマドゥロ大統領を「独裁者」と呼ぶなど同国に対する批判を展開しており、今回の恩赦決定により、思想的な偏見があるとの見方が広がる可能性がある。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:失言や違法捜査、米司法省でミス連鎖 トラ

ワールド

アングル:反攻強めるミャンマー国軍、徴兵制やドロー

ビジネス

NY外為市場=円急落、日銀が追加利上げ明確に示さず

ビジネス

米国株式市場=続伸、ハイテク株高が消費関連の下落を
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 5
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 6
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中