Z世代の女性はなぜ生きづらいのか【前編】
UNDER PRESSURE

常に他人と比較してしまう
Z世代は過去の世代が同じ年頃だった時に比べ、不安や鬱症状の割合が高いと以前から指摘されてきた。米疾病対策センター(CDC)によると、19年の時点で高校生の37%が持続的な悲しみや絶望感を抱えていた。新型コロナウイルスのパンデミックが広がった21年には、さらに42%に上昇した。この数字は2000年代初頭に同じ年頃だったミレニアル世代より50%近く高い。
「みんなZ世代に対して偏見がある。怠け者だとか何だとか。私たちはどうにかして生きようとしているだけなのに」と、ニューヨークに住むコンテンツクリエーターのアンマリー(28)は言う。「危機の連続で、世界的事件が次々に起こる。もう生きていければ十分って感じ」
年長の世代はこうした不満に対し、今の暮らしは本当に前の時代より不安なのかと疑問を口にする。冷戦の最盛期に育ったX世代は、エイズによる10万人以上の死者、犯罪率の急上昇、株価の大暴落、そしてスペースシャトル「チャレンジャー」の爆発を目の当たりにしてきた。
だがZ世代の専門家であるライト州立大学(オハイオ州)のコーリー・シーミラー教授は、Z世代の不満は正当なものだと語る。「今は80年代よりリスクが大きい」
Z世代は不安定な経済状況しか知らない。子供の頃は親が転職を繰り返したり、家を失ったりしていたかもしれない。10代になるとコロナ禍が直撃。マスク着用とオンライン授業の高校・大学生活を送った。
一方、Z世代にとってインターネットがログオンする場だったことは一度もない。彼らはその中で生まれたのだ。オンラインとオフラインが同等に存在する世界では、自分とそれ以外との間に隔たりは存在しない。
カリフォルニア州パロアルトに住むミア(19)は、スタンフォード大学の1年生。中学2年でコンテンツ制作を始め、今ではTikTokで73万5000人以上のフォロワーを持つ。「私たちは公共空間で自分のアイデンティティーを築き上げた史上初の世代かもしれない」
ニューヨーク在住の広報担当者カイラ(26)が初めてインスタを始めたのは11歳の時だった。「両親は監視したり制限したりしなかった。親たちにとっても新しいものだったので、そうする方法が分からなかった。こんなに多くの情報にアクセスして自分と他人を比べていれば、メンタルヘルスに影響が出る。友人同士のコミュニケーションにも影響する」
SNS時代の「人と比較したがる」カルチャーは若い女性同士を競わせるだけでなく、「正しい女性」のイメージを強化すると、Z世代に特化した調査会社アップ・アンド・アップの創業者レイチェル・ジャンファザは言う。Z世代の女性には、たとえ一時的にでもアプリを削除することがストレスを軽減する唯一の方法だと語る人が多かった。
メンタルへの負担を増大させているのはSNSだけではない。本誌が取材した女性たちの多くは、住宅を所有できる可能性や家庭を持つことについて、あるいは職場での燃え尽きへの対処について疑念を抱いていた。そして、さらに多くの女性が、かつては約束されていた未来が手の届かないものになっていると嘆いた。
ピュー・リサーチセンターの調査によれば、アメリカでは25〜34歳の女性の47%が学士号を持ち、男性の37%を超えている。だが、高等教育は彼女たちの経済的な苦境を和らげるどころか、むしろ深めている。女性は全米の学生ローンの約3分の2を抱えながら、収入は依然として男性より17〜18%低い。彼女たちが取得した学位は格差を埋めてはいない。
間違った仕事には就けない
この状況の中で、安定を優先して進路を選ぶ感覚がますます強まっている。X世代のシーミラーは80年代にサマーキャンプで働いて大学の学費を賄っていたが、「今はそんなやり方は通用しない」と言う。「正しい選択をしなくてはという強いプレッシャーがある。『間違った専攻は選べない。間違った仕事にも就けない。一度でも踏み外せばホームレスになるか、職を失うかも』という感覚に縛られている」
インフレ率は22年の記録的水準からは低下したが、それでもコロナ禍の前より高いままだ。労働統計局の統計によれば、食料品価格はパンデミック前より約30%上昇しており、大きな負担となっている。
「経済的な問題が一番大きい」と、ノースカロライナ州ケーリーに住むハンナ(22)は言う。「今の住宅市場は最悪だし、食料品がこんなに高かったことはない。全てがこれまでで一番高いのに、誰もが仕事を探している感じ。学士号を持っていても修士号でも、もう生活していけるだけの収入は得られない気がする」
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【note限定公開記事】Z世代の女性はなぜ生きづらいのか【後編】
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