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致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解

Global Virus Network Issues Statement on Nipah Virus Outbreak

2026年2月3日(火)17時35分
イアン・ランドル(科学担当)

ニパウイルスの治療法開発に必要なこと

ニパウイルスは1998年に初めて記録された人獣共通感染ウイルス。果実を食べるコウモリを宿主とし、豚などの動物を経て人に感染する。

感染経路としては、感染した動物との接触や汚染された食物の摂取が主であり、ヒトからヒトへの感染は稀だ。


初期症状には、咳、呼吸困難、発熱、頭痛、喉の痛みなどがあり、感染が進行すると脳炎などの重篤な合併症を引き起こす場合もある。

GVNは、西ベンガル州での今回の流行を注視しており、インド南部のケーララ州にある先進ウイルス学研究所を通じて、ニパウイルスの監視や新たな診断検査の開発に取り組んでいる。

「公衆衛生体制と監視能力の整った国々は、ニパウイルスによるリスクを十分に抑えることができる」とGVNは指摘する。感染拡大防止において重要なのは、「早期発見、臨床現場での認識、迅速な診断」ともした。

GVNによると、今回のニパウイルス集団感染は、世界的な警戒を要する事態ではないものの、「新興感染症の脅威に対処するためには、監視や診断に加え、世界的に連携した科学ネットワークを継続させることが重要」だ。

ニパウイルス感染症は、検査によって感染の有無を確認することはできるが、現在のところ確立された個別の治療法は存在せず、予防用のワクチンもない。

感染した患者には、安静を保ちつつ水分補給、そして各症状に応じた対症療法が施されるのが一般的だ。

現在、モノクローナル抗体や新規抗ウイルス薬といった、いくつかの実験的治療法が開発中であり、初期の臨床試験に進んでいる。

ワンは「(治療法の開発)進展のためには、公益を目的とした持続的な投資と国際的な協力が不可欠だ」と語った。

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