最新記事
健康

疲労の対義語は? 「休養」ではありません...休養学の医学博士が教える「100%回復」するのに必要な要素とは

2024年7月9日(火)11時52分
片野 秀樹 (日本リカバリー協会代表理事、博士(医学))*PRESIDENT Onlineからの転載
疲れの対義語は? 「休養」ではありません...休養学の医学博士が教える「100%回復」するのに必要な要素とは

PeopleImages.com - Yuri A -shutterstock-

<いくら休んでもなかなか疲れが取れないのはなぜなのか。ただ休むだけでは疲れは50%までしか回復しない...あえて軽い負荷を自分に与えて活力を高める方法>

長年休養について研究し、日本リカバリー協会の代表理事を務める片野秀樹さんは「『働き、疲れたら、休む』を繰り返すだけだと、休んでもフル充電に戻せないまま、活動に戻るようなもので、サステナブル(持続可能)になっていない。

次の活動に移る前に、休養のほかにもう1つ、疲労を打ち消すような要素を加えるといい」という――。

※本稿は、片野秀樹『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。


【「活動→疲労→休養」のサイクルから抜け出す】

私たちは十分な休養をとれているとはいえません。今の私たちの休養のとり方を図解してみると、「活動→疲労→休養」の3つをグルグル回っているようなものです(図表1)。

どういうことでしょうか。

私たちは職場や学校に行って、仕事や勉強などの活動をします(活動)。家で仕事をする人もいますし、家事や介護、育児をする人もいるでしょう。

これらの活動をすれば、当然、疲れます(疲労)。

疲れたら休みます(休養)。

そしてまた活動します。

このように普段私たちはこの3つの要素を繰り返しているのです。

newsweekjp_20240709021708.jpg片野秀樹『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)より

しかし私は、ここにもう1つの要素を加えたいと考えます。それは何でしょうか? 

皆さんも考えてみてください。

私はよく皆さんにこんなふうに質問します。

「疲労の対義語、反対語は何だと思いますか?」

すると、「休養ですか?」と答える人がほとんどです。

しかし、残念ながら休養ではありません。

【100%フル充電状態には戻れていない】

活動→疲労→休養のサイクルを、スマホの充電池にたとえてみましょう。活動し、疲労することで電池の残量は減ります。しかし、休養することで充電し、再び活動します。

休養で100%フル充電状態に戻れれば、これで何も問題ありません。しかし、もうおわかりかと思いますが、なにしろ日本人の8割が疲れているわけですから、実際にはそうなっていません。今はやりのいい方をすれば、サステナブル(持続可能)になっていません。

休んでもフル充電に戻せないまま、活動に戻っているのが実態です。私の感覚では、今の日本人は休養しても50%程度しか充電できていないイメージです。

そのまま活動して20%くらいまで減り、休養で50%にどうにか戻って、また活動して......。これでは、私たちの消耗は進むばかりで、疲れがどんどんたまっていってしまいます。

そこでわれわれが提唱しているのが、次の活動に移る前に、休養のほかにもう1つ、疲労を打ち消すような要素を加えることです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ、鉱物協力基金に合計1.5億ドル拠出へ

ワールド

中韓外相が北京で会談、王毅氏「共同で保護主義に反対

ビジネス

カナダ中銀、利下げ再開 リスク増大なら追加緩和の用

ワールド

イスラエル軍、ガザ市住民の避難に新ルート開設 48
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中