最新記事

日本社会

小学生に憧れの「YouTuber」その厳しい現実 ゆたぼんの革命は成功するか?

2019年5月21日(火)18時00分
高橋 暁子(ITジャーナリスト)*東洋経済オンラインからの転載

再生数が伸びない若者は、極端な行為に走りがちになる。女子は「JS(女子小学生)・JC(女子中学生)・JK(女子高生)」などと年齢をうたう場合が多く、それにより成人男性ファンがついて再生数は上がる。ただしその際、あおられて自ら服を脱いでしまうなどの例も見られる。

一方で男子は、犯行予告や犯罪行為などの過激行動に走って炎上したり、事件化したりする例が見られる。

黒歴史として残る「デジタルタトゥー」

実際、小学生などがキッズYouTuberに憧れて保護者に隠れて動画を投稿して、炎上してしまう例は少なくない。YouTubeで検索すると、多数の小学生の炎上動画が見つかる。

たとえ、炎上騒動が収拾したとしても安心はできない。アフィリエイト目的のアカウントが「炎上小学生YouTuber」として、炎上した動画を再投稿している例も多数見つかる。こうなると、ネット上から炎上動画を削除することはもはや不可能に近い。そのような動画は、デジタルタトゥー(削除するのが難しい個人情報)として残り続けることになる。

冒頭で紹介したゆたぼんさんも、YouTubeだけじゃなくテレビや新聞などにも顔出しし、本名で登場しつつ過激な発言を繰り返している。ここまでくると彼の個人情報がネット上から消えることはないし、今後、彼が学校に行かないままでも行くことにしても、批判する人は現れるだろう。わずか10歳で普通の生活を送ることの難易度が上がってしまった。

また、筆者が会ったある小学生男児は、「大きくなったら人気のYouTuberになる!」と元気いっぱい答えてくれた。大好きなゲームのプレイ実況がしたいそうだ。YouTuberの動画は楽しいし、テレビとは違ってコメントにも答えてくれるなど親近感も感じられるため、子どもが憧れるのは仕方なくもある。今後も憧れる子どもが続出することは間違いないので、このようなさまざまなリスクがあることは引き続き伝えていきたい。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。
toyokeizai_logo200.jpg

ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英中銀は8日に0.25%利下げへ、トランプ関税背景

ワールド

米副大統領、パキスタンに過激派対策要請 カシミール

ビジネス

トランプ自動車・部品関税、米で1台当たり1.2万ド

ワールド

ガザの子ども、支援妨害と攻撃で心身破壊 WHO幹部
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中