「冗談だろう」の落選から――苦節30年以上、73歳デルロイ・リンドーがついにオスカー候補に
Surprising but Much-Deserved
30年以上も一級品の演技を続けてきたリンドー MAARTEN DE BOER/GETTY IMAGES FOR AARP
<長く評価されてきた名優が、ついにスポットライトを浴びる。映画『罪人たち』で見せたリンドーの演技は、賞レースの中心へと躍り出た>
2026年のアカデミー賞ノミネートが発表された1月22日朝、最も喜ばしい驚きは『罪人たち』(原題:Sinners)でデルタ・スリム役を演じたデルロイ・リンドーの助演男優賞選出だった。
本作は1930年代のアメリカ南部で黒人と吸血鬼の死闘を描くライアン・クーグラー監督のホラー映画。史上最多のアカデミー賞ノミネート作品となったが、リンドーの候補入りは予想外だった。
受賞予測サイト「ゴールドダービー」でのノミネート確率はわずか6.57%。一方、93.64%の確率だった『ハムネット』(原題:Hamnet)のポール・メスカルはノミネートを逃した。
ただし、このノミネートが喜ばしいのはサプライズによる興奮だけではない。73歳を迎えた黒人映画界のレジェンドにとって、驚くべきことに今回が初のノミネートであったことだ。
ベテランから新鋭まで好演が相次ぐ『罪人たち』の中でも、リンドーは間違いなく最も巧みな演技を披露した1人だ。ただし、アカデミー賞関係者が称賛する理由はそれだけではない。
デルタ・スリムは、主人公の双子スモークとスタックがジュークジョイント(黒人用安酒場)の開店記念演奏に雇ったアルコール依存症の才能あるブルースミュージシャン。コメディータッチの演技で作品のトーンを変える。






