最新記事
音楽

ブルーノ・マーズが示す寡作でも「ヒット」の法則

The Mars Method

2026年2月16日(月)11時00分
クリス・モランフィー (音楽評論家)
エルビスの物まねが出発点のマーズは希代のエンターテイナー(2017年「24K Magicワールドツアー」のニューヨーク公演にて) THEO WARGO/GETTY IMAGES FOR ATLANTIC RECORDS

エルビスの物まねが出発点のマーズは希代のエンターテイナー(2017年「24K Magicワールドツアー」のニューヨーク公演にて) THEO WARGO/GETTY IMAGES FOR ATLANTIC RECORDS

<約10年ぶりに新アルバムをリリースするマーズが同世代のスターとは違うスタイルで売れ続ける理由>


▼目次
際立つ「生産性の低さ」
時代が求める軽やかさ

ミレニアル世代のポップスターについて、1つ言えることがある。彼らはとても息が長い。ベビーブーマー世代よりも長く、Z世代について予測するには早すぎるが、少なくともX世代よりは確実に長きにわたって活躍している。

イーグルス、フリートウッド・マック、ピンク・フロイドといったブーマー世代のバンドは何十年もアリーナを回り続けたが、彼らがヒット曲を生み出した期間は実はとても短い。新曲を確実にラジオやチャートに送り込めていたのは、いずれも1970~80年代にかけての10年ちょっと。その後、これらのブーマー世代バンドは同じ楽曲を何十年もツアーで演奏し続けた。

アルバムに先行して今年1月にリリースしたブルーノ・マーズの新曲「I Just Might」♪

一方、ミレニアル世代のメガスターはどうか。ラジオからもチャートからも、一向に消えていかない。80年代生まれで2000年代にブレイクした彼らは、既に15~20年近くヒットを生み出しながらも、衰える兆しが全くないのだ。

81年生まれのビヨンセは、ソロとしてビルボードのヒットチャート「ホット100」で1位を獲得し続けて20年以上になる。86年生まれのレディー・ガガは、デビューから18年がたつ今も「Die With A Smile」といった新しい曲でアリーナを満員にしている。同じく86年生まれのドレイクは、ケンドリック・ラマーとの確執後に失速したものの、初めてホット100のトップテン入りした「Best I Ever Had」から17年の時を経て、昨年「NOKIA」で再び勝者の側に戻ってきた。

89年生まれのテイラー・スウィフトが昨年発表した「The Fate of Ophelia」は、自身にとって最も長期にわたってチャート首位を維持したが、これはデビューから実に20年たってからのことだった。

こうしたミレニアル世代の成功者リストに、85年生まれのピーター・ジーン・ヘルナンデス──またの名をブルーノ・マーズ──を加えよう。彼のヒットメーカーとしてのキャリアは、10年にラッパーB.o.B.の「Nothin’ on You」にボーカルとして参加し、同年後半にソロデビュー曲の「Just The Way You Are」をヒットさせてから、15年以上に及ぶ。

ブルーノ・マーズ「Just The Way You Are」(2010年)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアの核ミサイル部隊、シベリアで演習実施

ワールド

インドネシア、株式市場改革が完了 MSCIの指摘に

ワールド

独連邦債利回り、4日ぶり上昇 中東緊張緩和への期待

ワールド

ホルムズ対応の有志国協議、日本も参加へ 2日夜に初
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 3
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経済政策と石油危機が奏でる「最悪なハーモニー」
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    カンヌ映画祭最高賞『シンプル・アクシデント』独占…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中